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「店では決まって赤ワインを飲んでいた」

神奈川県藤沢市内の工務店で働き、木造アパートの寮に一人で暮らしていたこの男。死期が近いことを悟ったのか、入院先の病院で自ら“桐島聡”と名乗った後、1月29日に絶命した。男は“ウチダヒロシ”と偽名を使い、社会に溶け込んでいた。♯2でも詳報したが、“ウチダ”はときおりDJバーに通い、フォークギターを弾くこともあったという。「集英社オンライン」は“ウチダ”が毎週のように通ったミュージックバーの店主にも話を聞いた。

指名手配をされていた桐島聡容疑者
指名手配をされていた桐島聡容疑者
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店主は、常連客の一連の報道にショックを隠し切れない様子だった。

「ウチの店に通い出したのは2000年くらいからですかね。夜の11〜12時くらいに来ることが多かったですね。いつも1人です。多い時は週に1〜2回来てましたよ。次の日が休みの土曜日とか、あとは土木関係だから雨の日など仕事がないと来店してました。ウチの前にもどこかで飲んでから来ていたようで、いつも少し酔っていました。携帯とかは持ってなかったと思います。持ってるところを一度も見たことないですし、連絡取り合ったりする人もいなかったのでは。来るときは毎回、ふらっと来る感じでした」

“ウチダヒロシ”が住んでいた木造アパート(撮影/集英社オンライン)
“ウチダヒロシ”が住んでいた木造アパート(撮影/集英社オンライン)

ミュージックバーでは店主や客から“うーやん”と呼ばれていた“ウチダ”。店では決まって赤ワインを飲んでいたという。

「基本的に1杯だけ飲んで帰るんで、20分くらいしかお店にはいなかったですけど、たまに他のお客さんと話が盛り上がると2杯目も飲んでいましたね。お店に来るときは、作業着とかじゃなくてきれいめな服装だったと思います。会話はボソボソっとしゃべるタイプで、“うーやん”から話しかけてくれるんですけど、聞き取れないことが多かったです。大体、音楽の話をしていました。“うーやん”は僕が冗談を言えばにこやかに笑ってくれていて、お客からも慕われていました」