床下から「マッカーサー来日」みたいな見出しの古い新聞が…
遊覧船としての仕事は順調だが、地域には課題もある。
伊根には飲食サービスが少ないため、観光客が夜食事をする場所がほとんどないのだ。宿は約30軒あり、外国人観光客も多いため、4か月先までほとんど満室だというが、「飲食店がない」と外国人向けガイドブックにまで書かれているほど。
そこで寺谷さんは、同じく移住して来た知り合いのシェフと共同で、仕出しサービスを始めることに。オリジナルの朝食や夕食を作り、ケータリングで宿のお客さんに提供するデリバリーサービス「Ohitsu」がそれだ。
メールかインスタグラムでオーダーする予約制だが、宿泊客が事前に知ることが難しく、今後も情報発信やPRをもっと活発にしていきたいという。
寺谷さんは他に、遊覧船が稼働できない期間も有効活用しようと、新しい展開も考えている。
2023年に舟屋を買い、そこから遊覧船に乗り降りできるよう改修している。舟屋を見学したい観光客は多いので、同じく移住してきたカメラマンの友人に撮影してもらい、YouTubeで発信する準備も進行中だ。
住まいは空家バンクに登録されていた築60年以上の民家で、家賃は3万円。
「食事のデリバリーサービスを始めるのに家のキッチンを改修したとき、床下から『マッカーサー来日』みたいな見出しの、ものすごく古い新聞が出てきて(笑)。元々は相当昔からある家かもしれませんね」
海釣りの魅力は「どんな大きさの何が釣れるかわからない『ガチャ』的な面白さがあるところ。上手な人とそうでない人の差があるから、上達する楽しみもある点は、ゲーム感覚に近いかも」