就職も断られ、銀行口座も作れず
ーー高校にはどうして通えることになったんですか?
高校は弁護士の先生たちが面談に行って、「こういう子なんだけど受け入れてくれないか」って話をしてくれたんですけど、どこからも断られて。最後にダメもとで出した通信制高校から合格通知が来て、高校に行けることになりました(松本麗華さん、以下同)
ーー高校生活はどうでした?
緊張しました。“普通”がわからないから、どんな会話をしたらいいんだろうっていつもどきどきしていた。月1回とか2回通って、その後はマックでおしゃべりしたりして。友達は私のことを知らなかったです。今も知らないかもしれない。でも、(月に1回や2回では)私が思っていた親友までは作れないと思って大学に行くことを考えたんです。普通に大学に毎日通うようになったら友達ができるんじゃないかと思って、勉強を始めました。
ーー大学はどうなったんですか?
大学はいくつか合格したんですけど、入学拒否されて、「ご了承ください」って言われました。でも(弁護士の)松井先生が、仮地位というのがあるよって教えてくださって。仮地位が認められて大学に入学できたという。
ーー仮地位とは?
この場合は、学生としての仮の地位を裁判所が認めるということです。ダメもとで大学に挨拶に行って面談にこぎつけて、会ったらこの子だったら行けそうじゃないという話になったみたいです。仮地位が出たら受け入れますからと言ってくれて。
ーー就職でも苦労されたそうですね。
父が執行されたあと就職したんですけど、(就職先の)本部に呼び出されて「麻原彰晃の三女ですか。間違いがあったらいけないので確認させてください」みたいに言われて仕事ができなくなったり。
ーー「そうです」って答えたらクビになるんですか?
「ご遠慮ください」みたいになっちゃう。あとは今も銀行口座が作れない。事件直後に作れなくなったわけじゃないんですが、どんどん状況が悪くなって作れなくなって。 行政主導でそういう排除も行われたし、マスコミ報道もあってそうなっていたんだと思います。
ーー大学や職場で拒否されたときはどう思いましたか?
寝込んじゃったりしました。自分の気持ちを感じる余裕もなく、なんで寝込んでいるのかわからないけど、寝込んいる感じで。