靴下業界において掟破りの袋詰めのパッケージで勝負

さらにパッケージにおいても同社は靴下業界の常識を打ち破る施策にチャレンジする。
靴下売り場を想像していただければわかるように、通常、靴下は実際に触って確認できるように、袋で包装せず、パッケージは靴下に巻いた状態で販売されている。
だが、「靴下サプリ  まるでこたつソックス」はすっぽり袋に包まれていて、靴下自体は外から見えない、触れない袋入りパッケージになっている。

「パッケージについては社内でも懸念されていました。ですが、『靴下サプリ』というブランド名なので、市販のサプリメントがドラッグストアなどで、パウチ状態で売られているように、靴下も同じようにパッケージで販売することにしました。

販売チャネルもはじめは、オンランストアとバラエティショップに絞って、靴下売り場ではなく、ほかの健康、美容アイテムと一緒に並べてもらうことにしたんです。そうすると、比較的若い層に手にとっていただけるようになり、徐々に幅広い年代にも広がり、予定数量をオーバーし欠品するほどに。

2016年はリブランド前の17倍以上の売り上げを記録し、ブランドを牽引する大人気商品となりました。わかりやすいネーミングと足元を温めたいというニーズがマッチした結果だと思っています。昨年は節電ムードもあり、予定数量を完売しました。今年度は暖冬ですが、CMの影響や昨年買えなかったお客様のニーズもあり、昨年度を上回る予定です」

節電ニーズも後押し。足の冷え対策に特化した靴下が爆売れしている理由「パッケージを変えたら売上が17倍に」_2
リブランドしてパッケージを変更

その後、同シリーズは、レッグウォーマーやメンズ用も販売。
レッグウォーマーはオフィスでの寒さ対策に、メンズ用は、コロナ禍によって運動習慣が減少して筋肉量が減り、冷えを感じるようになった男性に好評だ。

「あらゆるシーンで、足元の冷え対策として弊社の靴下が役立つように、今後も商品を考えていきたいと思っています」

今、同社が特に力を入れているのは2022年11月から発売された、就寝時用の「おやすみスイッチ」だ。「足が冷えて寝付けない」という睡眠の問題に訴求した商品になる。

「足裏には『AVA血管』と呼ばれる体温調整に関わる血管があります。この『おやすみスイッチ』はAVA血管の集中する足裏を保温素材で温めます。それにより、血行が促進され、つま先まで温まるのです。就寝時には『おやすみスイッチ』を着用するという新習慣をお客様に定着してもらうため、今後もっと発信していく必要があると思っています」

節電ニーズも後押し。足の冷え対策に特化した靴下が爆売れしている理由「パッケージを変えたら売上が17倍に」_3
足裏の素材がつま先まで温める「おやすみスイッチ」
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温かい機能靴下は節電ニーズの高まりもあって、リラックスタイムからオフィス、就寝タイムまで、今後も注目されそうだ。


取材・文/百田なつき