新興宗教に洗脳された家庭への介入は…

【漫画あり】なぜ37歳の才女は汚物まみれのゴミ山で暮らすようになったのか。「合法的に人を殺せる商売が医者だから、ハイスペックな資格を取れ」歪んだ価値観で育てられた子供たち_5

――東京と千葉はなぜ大丈夫なんですか。

東京は多摩エリア、例えば青梅や八王子にある病院で、患者さんを受け入れてきた歴史があります。千葉にも精神病質の人たちを研究する病院があるので、経験を持っているんです。ですから、これからは住む場所もしっかり考えなければいけなくなってくると思いますね。

――つまり、事件が起きてから初めて対応するような状況になっていると。

そうなっていますね。当事者家族や近隣住民が被害を受ける場合もありますが、一番不幸なのはやはり当事者である患者さんですよ。

ほかの病気に例えるなら、重度の肺炎の方の治療は拒否して、初期の風邪の患者さんだけを診ればいい、と言っているようなものです。コロナ禍では重症化した方が医療にかかれずパニックになりましたが、精神科医療ではそれと同じことがずいぶん前から起きているのです。

――近年は新興宗教の問題が話題になることも多いですが、精神疾患と結びついたケースも少なくないように思います。

その問題には昔から直面していますね。ただ、一番多いのは当事者の親御さんが信者というケースで、どんなに酷い状況でも教義に沿って進めていくので、そのせいで医療につながれなくなったり、つながったとしても病院から親御さんが退院させてしまったりすることもあります。そういったご家庭は、やはりものの見事に宗教団体からお金もとられています。

――そうしたケースには、どう対応するんですか。

新興宗教に洗脳されてしまっている人たちは、「押川にだまされるな」という状態になっているので、基本的にはコミュニケーションが成立しないですね。我々が出ていかなくても簡単に医療とつながる状態なのに、つながっていないという場合は、往々にして新興宗教が絡んでいるケースが多かったように思います。

助けられた例でいえば、当事者が親と決別して、宗教からも離れられる環境を作ったことで、回復したケースがありました。実は、新興宗教側が私をスカウトしにきたことがあるんですよ。日本最大級のところも含めて4つくらいきましたけれど、当然すべて断りました。幹部候補でどうだとか、みんなお金の話ばかりしてきましたね。