小さなお得感を好む日本人の国民性

楽天経済圏を擁する楽天グループには多種多様なサービスがあるが、なんと楽天グループだけで40個以上のアプリがあるのだという。

なかでも楽天の銀行関連のアプリだけでも、用途が細分化されているため7個ほどあるそうだが、金融系のアプリはセキュリティ面での注意が必要なんだとか。

「金融系アプリはアップデートの更新頻度が高く、パスコードやパスワードが必要になる局面が多くあります。ですからパスワードをほかのアプリと使いまわしていたり、前述したような他の管理アプリにパスワードを保存していたりしていると、セキュリティ上の問題が起きたときやスマホを紛失したときのリスクが大きくなってしまうもの。

ですから金融系やクレジットカードに紐づいたアプリは、すぐに追随できる程度の数に留めておくほうがいいでしょう」

仁義なきスマホ“ホーム画面の陣取り合戦” 楽天アプリは40種以上…企業とユーザーが落ちた「アプリがあれば安心」の落とし穴_3
すべての画像を見る

ところで、一昔前までいろいろなお店ごとにポイントカードがあったが、これは世界的には珍しく、日本特有の現象だったそうだ。

そしてキャッシュレス決済が進んだ現在、ポイントカードを持ち歩く人が減ったこともあり、さまざまなお店や企業が従来のポイントカード代わりにポイントアプリを作っているという状況もあるらしい。

「確かにポイントカードに代わってポイントアプリが広く普及しているのは、小さなお得感を好む日本人の国民性の表れとも言えるでしょう。ポイントカードを持っていても損はないという感覚と同じで、とりあえずポイントアプリを入れておこうという思考の人は多そうです。

インストールすれば最初に100~1000ポイントをプレゼントするというポイントアプリも多いので、日本人の国民性的に広まりやすいのでしょう。

つまり、ユーザー側が欲しているという需要ありきではなく、背景には企業側が信頼度や認知度を高め、顧客を囲い込んでプッシュ広告によって売り上げ増加させたいといった思惑もあり、アプリ市場はどんどん拡大していっているのです」

取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio) 写真/shutterstock