「バファエール」もすごかったけど、あの選手の応援が…

――今年は59年ぶりの関西対決となった日本シリーズも盛り上がりました。

阪神が強かったですね。細かいことを言えば、「あのときああしとけばよかった」とかチームとしてもあると思うんですけど、勝ち負けのあるスポーツの世界なので、そこは前向きに捉えて次はやり返したいなと思っています。

――2024年はやり返そうと。

来年はリーグ4連覇、日本一を奪還することが、僕らのが仕事だと思っているので、切り替えてしっかりやっていけると思います。

――日本シリーズは阪神の大応援団のなかで、オリックスの応援もすごかったですね。

僕はブルペンからベンチ裏くらいまでしか行けてないんですけど、ベンチ裏でもめっちゃ聞こえててベンチの選手たちもみんな「すごい！」って言ってました。いつもTさん（チーム在籍最長のT-岡田選手）の応援はすごいんですけど、日本シリーズは全選手すごかったです。シリーズ6戦目の初回の「バファエール」も、甲子園でもオリックスのファンは一角にしかいないのに、しっかり声だしてもらってて、ファンの方たちからしたら、「負けたくない」っていう気持ちでやってくれたんやろうなと思って感動しました。

――第6戦の初回の「バファエール」はよかったですね。

ベンチ裏の選手たちも聞いてて、「初回からバファエールいってるやん」みたいな感じで言ってましたね。「バファエール」って（男女で）パートが分かれてるじゃないですか。女性もがんばってくれてて、喉しんどいのに初回から声だしてくれて、本当にありがたかったです。

――ご自身への応援で勇気づけられたことは？

去年になるんですけど、日本シリーズ（第2戦）で僕がホームランを打たれて同点に追いつかれたんです。その後、（第5戦・本拠地）京セラドームにもどって投げた試合です。マウンドに上がったときに拍手とか、「がんばれよ～」みたいな声がすごく聞こえてきて、あのときはやっぱり応援ってすごいなと思いました。

――ほかに印象に残っている応援はありますか？

エスコンフィールドでのTさんの応援ですね。ふだんはブルペンで見ることがないんですけど、三塁側スタンドの最上段のオリックスの応援席でそんなに人数がいないときでもTさんの応援は大きいんですよ。ブルペンでもみんな「Tさんすごいな」って言ってました。あれを聞くと、Tさんがどれだけ功労者かってことが伝わってきます。《後編》へつづく

《後編》「僕ら野球下手くそだから…」オリックス阿部翔太がファンの応援があってこその野球と思い知らされた社会人野球時代のある試合

#1 《大谷翔平を超える逸材》えげつないボールを投げる怪物・山下舜平大のプロ初登板＆開幕投手で確信した「バファローズ投手王国」 への道筋

#2 NPB最高投手となったオリックス山本由伸はメジャーで何勝できるのか…指標となる「3年連続防御率1点台」を残してメジャー挑戦した2人の剛腕

#3 佐々木朗希、奥川恭伸を上回る成績をあげる宮城大弥は本当に「技巧派左腕」なのか？ 「由伸さんがいなければ」

#4 残りふたりとなったPL学園出身の現役プロ野球選手…日本シリーズに挑む中川圭太に社会人野球で奮闘する“最後のPL戦士”からエール

#5 「アホか。お前はプロを目指せ！」。日本シリーズでの快投を期するオリックス・山﨑颯一郎を支える中学時代の恩師の“ひと言”

#6 「こんなオリ姫見たことない」。阪神1300人、オリックス100人という人気“格差”の裏で息づくオリックスファンの絆

取材・文／集英社オンライン編集部　撮影／高木陽春