若い世代は「お金や住まい」、老後の近い世代は「健康」について考えてみよう
——若いうちから特に考えておくべきことは何でしょうか。
20〜40代では、お金や住まいに関してよく検討すべきだと思います。最も大きなお金が動くのは、家を購入するときといっていいでしょう。
将来までずっと家族構成にマッチした家はありません。家の購入時には子どもを含めた3〜5人程度で住んでいても、子どもが巣立ったら夫婦2人で住むため、部屋が余ります。
そのときに自宅をスムーズに売却して住み替えるためには、資産価値の下がりにくい物件を購入するなど「売ることを想定して買う」ことが重要になります。
また、これからは「退職金がない時代」がやってくるといわれているので、退職金に頼った住宅ローン返済は非常に危険です。無理のない住宅ローンの金額はいくらなのか、シビアに計算する必要があります。
老後の生活資金も年金にすべては頼れないので、これまで以上にひとりひとりがマネーリテラシーを身につけて資産運用をすることが大事です。
しかし、もし大切な資産を通帳のないネット銀行に黙って貯めていたら?
自分に万が一のことがあったとき、スマホのロックを誰も解除できなかったら?
残された家族がその資産を使うこともできないかもしれません。スマホやネット銀行、クレジットカードなどのデジタル関係の情報はまとめてどこかに記載し、家族に共有しておくことをおすすめします。
また、親にも「ネット証券やネット銀行を使ってるかどうか?」を確認しておくとよいでしょう。
——親世代の「おひとりさまリスク」対策で、特に重要なことも教えてください。
親世代では、健康に関する希望を子どもと共有しておくことが重要だと考えています。例えば「生死にかかわる大きな病気の際に、延命治療を受けたいか?」などです。
もし親が自宅で倒れたとき、救急車を呼ぶ家族は多いと思います。この「救急車を呼ぶ」という行為は、「救命・延命行為をしてください」という意思表示とも捉えられます。
しかし親がもし無理な延命を望んでいないのだとしたら、呼ぶべきなのは「かかりつけ医」かもしれません。
70〜80代にとって積極的な治療は心身の大きな負担がかかる可能性があります。また、重大な判断を迫られる子どもにも多大なプレッシャーがかかるかもしれません。万が一のときに親の意向とは違う対応をしないよう、折りをみて「お父さんは万が一倒れたら、どうしたいと思っているの?」などと、早めに意向を聞いておくとよいかもしれないですね。