ひとりひとりの生活習慣、価値観に応じた最先端の予防医療
麻布台ヒルズが提案するいくつかのテーマの中で、ウェルネスとは健康よりも広い意味での、肉体的・精神的に“よりよく生きる”ための健康維持を行う生き方のことを指している。この街の住戸数は1400戸、居住者数が約3500人。そして、この街で働くワーカーは約2万人が想定されている。彼らひとりひとりのウェルネスを、この街のすべての施設が連携しながら、サポートをしていくことを目指しているのだ。
その象徴ともいえる施設が、森JPタワーの5~6階に入居した「慶應義塾大学予防医療センター」であろう。2012年に誕生した、最先端にして本格的な予防医療を行うプロフェッショナル集団。慶應義塾大学病院の予防医療センターが、2021年3月に森ビルと慶應義塾が締結した基本協定に基づき、この麻布台ヒルズに拡張移転をしてきた。
「これからの予防医療は病気にかかることを未然に防ぐだけでなく、健康な状態で長生きできるように総合的な健康増進を行うことが重要だと慶應義塾大学予防医療センターは考えています。病院の枠を超えて、街全体、社会全体でこの挑戦に取り組むために、森ビルとタッグを組み、麻布台ヒルズという様々な都市機能が複合する街に移転することが決まりました。」(森ビル広報)
今回、麻布台ヒルズに拡張移転してきた「慶應義塾大学予防医療センター」には、世界初の立位/座位で撮影が可能なCTなど、最新の医療機器と画像処理システムを導入し、高精度な人間ドックでの検査が可能になった(11月6日から検査開始)。
それに加えて、高い専門性を有するスタッフによる、受診者との対話を重視した“Narrative-Based Medicine”により、受診者ひとりひとりの心身の状態や生活習慣、価値観に応じてパーソナライズドされた予防医療を展開していくという。
やがては街の中のさまざまな施設と連携し、日常から街全体で人々の健康をサポートしていくことになるようだ。
特に世の中の医師が健康診断をする度に「健康の基礎は“適度の運動と食事”」と唱えるように、予防医療の分野でも「食事」と「運動」は最重要のトピックである。
この麻布台ヒルズにおいて、「食」に関しては、高級レストランから専門店、ウェルネスメニューを扱う店まで、日本を代表するレストランが集結するほか、中央広場の地下には、約4,000m²の広さを誇る大規模フードマーケット「麻布台ヒルズ マーケット」が1月に誕生する予定だ。厳選された食材と美味しく健康的な食の提案には事欠かない。
さらに「運動」の分野ではワーカー向け施設で運動に関連するプログラムなども行われる予定。その他、病院との医療連携の経験と実績を持つフィットネスクラブもこのプロジェクトに参画し、オープンを前にしてすでに活動を開始しているという。
(後編へつづく)
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
#2 パーソナルジムが医師と連携して病気を未然に予防。「麻布台ヒルズ」が提唱する最先端予防医療が日本の“健康概念”を覆す