後藤真希の加入で、より切磋琢磨したメンバーたち

そして、第3期メンバー募集のオーディションに応募してきたのが後藤真希でした。

当初は2名合格させるつもりでしたが、後藤に対するもうひとりを選ぶことができず、合格者は彼女のみとしました。

その後の『LOVEマシーン』の大ヒット、同時に後藤の人気っぷりは、記憶している人も多いと思います。

後藤のすごさは、最初に感じた才能だけではありませんでした。

加入したばかりのころは、彼女もできないことがたくさんありました。当然ですが、ダンスや歌、コンサートの立ち位置のことなど、何もわかりませんでした。

それでもほかのメンバーと同じように、決して 「NO(できません、やりたくないです)」とは言いませんでした。

顔には出しませんが、「なにくそ! やってやる」という姿勢と、「やってみてから考えよう」というポジティブさを感じました(本人的には、もっと無邪気な気持ちだったかもしれませんが)。

彼女はメンバーになってから驚異的なスピードで成長し、場に対応する能力を身につけていきました。

失敗を恐れず、成功体験を上手に生かし、また次のステップへと成長していきました。

そして後藤が成長すればするほど、初期メンバー、2期メンバーもそれに負けじと切磋琢磨し、どんどん成長していきました。

僕がアマチュアバンド時代から何年もかけて身につけたようなスキルを、彼女たちはあっという間に身につけていったのです。

当時のものすごいハードスケジュールの中、誰ひとり「NO!」や「ギブアップ!」を言ったメンバーはいなかった。僕はそう記憶しています。

「NO」と言い出しそうな子は、オーディションの段階でそういう匂いをプンプン出してきます。

もしひとりでもあのメンバーの中に、ネガティブ要素のある子が入っていたら、悪い負の連鎖も始まり、いまも続くモーニング娘。の歴史は早々と幕を閉じていたかもしれません。

みなさんも彼女たちのように 「NOの前に、まずはやってみる」 という精神を大切に
してみてくださいね!

後藤真希がすごかったのは、「できない」「やりたくない」がなかったから。プロデューサー・つんく♂が語る「伸びしろのある人」の条件とは?_2