IHIならではのグッとくる演出

「るろうに剣心 京都編」は、漫画家・和月伸宏先生のマンガ『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』の中でも特に人気の高い“京都編”を原作としたミュージカルだ。

京都編がミュージカルとなるのは初めてのことで、文部科学大臣賞や読売演劇賞、紫綬褒章を受章するなど、日本のミュージカル界を代表する演出家の小池修一郎が脚本・演出を担当。主人公の緋村剣心を演じるのは、今年俳優生活20周年を迎える小池徹平だ。

今作の見どころとして、まずは舞台演出をあげたい。ミュージカル「るろうに剣心 京都編」は、日本で唯一、客席が360度回転する劇場「IHIステージアラウンド東京」で上演される。

「るろうに剣心 京都編」最速レポート数々の死闘を収めた、原作ファンも垂涎の最先端ミュージカルを刮目せよ!_1
https://youtu.be/Z8ypdI9YwiE
左右の幕には映像が映し出される

本劇場は、360度回転する円形客席の周囲を、巨大な幕(スクリーン)とステージが取り囲む構造となっている。場面転換の時は客席と幕が移動する仕組みで、幕が閉じられているあいだは幕に映像が映し出されるので、世界観に入り込みやすい。

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神谷活心流道場での一幕
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セットだけでなく幕への投影もうまく活用して物語が進んでいく

原作を知っている方ならご存じだと思うが、“京都編”は様々な場所で、出会いや別れ、死闘が繰り広げられることもあり、重要なシーンが多い。

原作より華やかさが増した「極悪人」

それをミュージカルで網羅するのは難しそうに思うが、第一幕(ミュージカルは第二幕まである)だけでも、「神谷活心流道場」「御庭番集の墓標」「新月村の志々雄が滞在する館」「京都(葵屋前)」「志々雄のアジト」「白山神社境内」などがセットとして登場しており、場面転換の多さには驚かされた。

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駒形由美(伶美うらら)は艶やかな演技と歌を披露

物語は、原作コミックスの7巻〜18巻くらいまでを3時間に詰め込んでいるので、少々駆け足感も否めないが、原作へのリスペクトが十分に感じられる出来栄えだ。また、物語を彩る歌や踊りにより、キャラクターの心の内を知ることができるのもミュージカルならでは。

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「るろうに剣心 京都編」最速レポート数々の死闘を収めた、原作ファンも垂涎の最先端ミュージカルを刮目せよ!_6

特に志々雄真実(黒羽麻璃央)が、ミュージカルならではの演出で、原作より華やかさが増した「極悪人」になっている。セリフも多く、自信に満ちあふれた立ち振る舞いは、剣心との対比がより際立つ構成になっているように感じられる。