「退避する邦人からは3万円」に自民党内からも批判

一方、現地に滞在する邦人への対応をめぐっては、批判の声も上がっている。
日本政府のテルアビブ発チャーター機は日本時間14日深夜、邦人8人を乗せ、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに向けて出発した。だが、政府が搭乗者に対して、ひとりあたり3万円を請求していたことが報じられると、SNS上などで批判が噴出。

自民党内からも「政府の対応が後手後手に回っているのではないか。生命最優先なのだから、3万円を請求するとは情けない」(中堅議員)などと疑問の声が上がっている。

こうした指摘に松野博一官房長官は16日の記者会見で「航空券を購入して出国した日本人も多くいることを踏まえ、総合的な判断として運賃負担をいただくこととした。アメリカやイギリスなども原則として搭乗者に一定の費用負担を求める方針にしている」などと説明。
ただ、韓国は日本のチャーター機よりも早く、かつ51人の日本人も含め無料で搭乗させただけに、全国紙政治部記者は「韓国の対応と比較しても、日本の対応の『ケチさ』が際立ってしまった」とあきれる。

多くの一般市民を巻き込むイスラエル・ガザ紛争(写真/共同通信社)
多くの一般市民を巻き込むイスラエル・ガザ紛争(写真/共同通信社)

これまでも、外国に滞在中の邦人の緊急帰国をめぐって、渡航費を請求した対応が批判を浴びたケースはあった。

2020年、新型コロナウイルスの感染が広まり、封鎖された中国・武漢に滞在していた邦人を帰国させる際のチャーター便は当初、搭乗者に対して8万円を請求する予定だった。しかし、二階俊博幹事長(当時)が「突然の災難。惜しんでばかりいてもしょうがない」と安倍政権の対応を疑問視。党内外から批判の声が相次ぎ、結局、帰国費用は政府が負担することとなった。

「武漢からのチャーター便も今回も、国民の命を守るための手立て。その際にお金をとるようでは、政権の“国民を守る本気度”が疑われてしまいます」(全国紙政治部記者)