「いつかはNo.1を追い越したい」

えーすけさんはホストを始める以前、人材系のIT企業にインターンとして働いていたが、しばらくして「学ぶことがなくなった」という理由で辞めてしまったという。そんな彼はホストという職業を通して、これまでにないたくさんの学びを得ているそうだ。

店内のえーすけさん 撮影/福井求
店内のえーすけさん 撮影/福井求

「ホストを始めて第一に学んだのは、時間や挨拶への厳しさでした。僕のお店では10分前に出勤していないと遅刻扱いになるので、時間を徹底的に守るようになりました。それに挨拶をするときも相手の目をしっかり見るなど、人として当たり前のことを教わっています。キャスト同士は友達ではなく、ビジネスパートナーだから互いに厳しくないといけないし、逆にビジネスパートナーだからこそ、この厳しさを維持できるんだと学びました」

ホストとして、そして社会人としてのイロハを学び、日々成長を続けているえーすけさん。そんな彼が「いつかは勝ちたい!」と目標にしているのが、同じ店に所属する代表代理の十条嵐さんだ。

「十条嵐代表代理は、誰に対しても低姿勢でとても仕事熱心です。年間1億円以上も売り上げているにもかかわらず、どんなに細かいルールも徹底して守り抜いています。学校の勉強だったら僕は負けないと思いますが、とにかく仕事に対して熱心でまったく勝てない方です」

過去に一度も勝ったことがないというえーすけさんは「いつかは十条嵐代表代理を追い越したい」という目標を抱き、顧客の獲得を目指している最中だ。東大合格という関門を突破できたえーすけさんなら、憧れの人に追いつく日も遠くないのかもしれない。

勉強一筋の地味な男の子がファッションに目覚め、日本中のイケメンが集まる歌舞伎町で勝負をするようになるとは誰が想像できるだろうか。えーすけさんの変化を見ると、「人は頑張れば変わることができる」ということを教えてくれる。

#2へつづく

#2 「東大に入れなかったら自殺しよう」と思っていた現役東大生ホストの葛藤

取材・文/福井求