組Pがこっそり「実はあの子イジメで休んでるんやで」と教えてくれた
Aさんの転落死については、発見時の状況などから警察は自殺の可能性が高いと見ている。また、今年2月に一部メディアの、同じ宙組の先輩からイジメを受けていたとの報道もあったが(宝塚歌劇団は否定)、Aさんを追い詰めたのは、人間関係のトラブルだったのだろうか…。
今も劇団全体にはびこる“独特”な体質について、かつて「パワハラ」が原因で退団を余儀なくされた劇団スタッフが匿名を条件に証言を寄せてくれた。
「衝撃的なAさんの転落死のニュースを受けて私が感じたのは、『やはり起きてしまったか』という落胆の気持ちです。それほど宝塚歌劇団にはイジメや半強制的な労働奉仕など、一般社会ではあり得ないようなブラック体質が蔓延しており、それを隠蔽することばかりしてきたからです」
そう告白する元スタッフのヤマモトさん(仮名)は同劇団に数年ほど勤めていたが、上司からの度重なるパワハラが原因で心身に不調をきたし、2022年前後に退団に追い込まれたという。
「私のような劇団スタッフは稽古部屋でしか生徒さん(※宝塚歌劇団の劇団員)と接する機会がないし、生徒さんの控え室などに足を踏み入れることはなかったので、Aさんを含めてイジメの現場を直接見たことはありません。しかし、そういった話は何度か耳にしていました」(ヤマモトさん、以下同)
しかし、そうしたイジメの対策に運営側が取り組む動きは一切なく、「被害者」を平然と退団させてしまったこともあったという。
「劇団スタッフには組P(組のプロデューサー)や制作部長、演出家、振付家、振付助手などがいて、私は組Pと打ち合わせをする機会が多かったのです。ある日、まだ宝塚歌劇団に入って2年目の『研2』と呼ばれる生徒さんの一人が稽古をお休みしていたのですが、組Pがこっそり『実はあの子、イジメで休んでるんやで』と教えてくれたんです。でもその言い方が妙に他人事っぽくて、引っ掛かりを感じたのを覚えています。
その生徒さんは当時、売り出し中の若手でしたが、結局そのまま退団してしまいました。もちろん、このイジメ問題が世間に発覚することもありませんでした。これまた劇団独特の『外部漏らしはご法度』という不文律がはたらいたのでしょう。劇団関係者は宝塚駅の付近に住んでいる人ばかりだし、文字通り狭い世界であるのは確かなんですが、運営側の対応には疑問しか感じませんでした」