「幸せな最期」を考えるヒントは「人・物・お金・夢」
——そもそも自分や親にとっての「幸せな最期」がわからない方が多いかもしれません。どのようにイメージしたらよいのでしょうか。
「幸せな最期」について考え始める際は、「人」「物」「お金」「夢」という4つの観点からイメージを膨らませるとよいと思います。
「人」は、いざというとき、どれだけ自分が動けるのか、もしくは頼れる人的リソースにはどのようなものがあるのか。
「物」は、最期を過ごす場所や困ったときに相談できる場所などを検討します。
「お金」は文字通り、老後や終末期に使えるお金が誰にどれだけあるのか。
「夢」は、最期にどう過ごしたいか。例えば「余命3カ月と言われたらどのように過ごしたいか」などをイメージしてみます。
これらを考えるときのポイントは、今の自分や親ではなく「病気になった自分や親」「老後を迎えた自分や親」を想像することです。終末期や老後に関する書籍を読んだり、介護に関するテレビ番組を観たりして情報収集すると、より確かなイメージができるでしょう。
その上で「最期は病院で過ごすか、家で過ごすか」「延命治療はするか」など、より具体的な事柄まで元気なうちに話し合っておけたら、いざとなったときに齟齬を減らせると思います。
——「親の最期について話し合うタイミングがわからない」「親が本音を話してくれない」という声も聞くのですが、その点はどうお考えですか。
例えば、人間ドックや健康診断に行ったときなど、健康や病気に関するイベントがあったときに話してみるのはいかがでしょうか。切り出し方も「もし万が一、何か病気が見つかったとき、手術は絶対したくないとか、何かお母さんが決めてることってある?」など、フランクな聞き方でよいと思います。
基本的に親は子どもに心配をかけたくないと思っているので、本音をあまり話してくれないかもしれません。私も父にいつも「お前に任せるよ」と言われてしまいます。
そのため「私が決めるのは私の負担になるから、ちゃんと教えてよ」などと言って、親の考えを引き出すようにしています。「親が本音を教えてくれないと子どもが困る」ということを、わかりやすく伝えてはどうでしょうか。
重要なのは、本格的に体調を崩す前に話し合っておくことです。特に、がんは病気の特性上、一見元気そうに見える時期から亡くなるまでの期間が短いこともあり、いろいろ考えようと思ったときには、すでに思うように動くことができなくなっていた、、ということがあります。「元気なうちに」がキーワードですね。