日本代表GKに求められるもの

ビジャレアルは、チームとしても論理的に作られている。勝つために、まずは守りの堅固さをおろそかにしない。だからと言って、ラインを下げ過ぎて相手に自由を与えることはせず、必ず攻め手を残すことで警戒させる。守るためにも攻めるためにも、できるだけボールを持つ時間を増やすことも念頭に置いている。

具体的にエメリ監督はポゼッション率を高めるため、足技に優れたGKヘロニモ・ルジを起用している。総合力では他の選択肢がある。しかしチームマネジメントを考えた場合、GKに戻したボールで攻撃をリトライできないと勝負にならない、と判断しているのだ。

この点、現在はヴィッセル神戸を率いるミゲル・アンヘル・ロティーナも似ている。「守備的」と揶揄される監督だが、セレッソ大阪時代もGKにキックのスキルを強く求め、ボールを失わないロジックを作り上げていた。おかげで、キム・ジンヒョンのボール技術は確実に向上したほどだ。

森保ジャパンは攻めるにせよ、守るにせよ、ボールを握る力が弱すぎる。攻撃では縦一本のパスを多用し、簡単にボールを失い過ぎる。アジア最終予選でさえも、つなぎがノッキングしていた。

その点、横浜F・マリノスの高丘陽平のようなGKを抜擢するのも一計だろう。足技の技量は日本人屈指。Jリーグで日本人GKとして最上位のクラブでプレーし、アジアチャンピオンズリーグでも活躍している。代表に選ばれても不思議はない存在だ。