久保建英に足りないもの
当時、久保は国内リーグでは途中出場が続いていたが、ヨーロッパリーグ(EL)では主力だった。結果的にチームはELを勝ち上がって優勝し、CL出場権を得たが、久保は半年でヘタフェに移籍している。
エメリは、久保の才能を高く買っていた。当初はいろいろなポジションで起用したが、やがて監督の与える役割と選手の特性にズレが生まれた。その技巧は魅力的で攻撃重視の戦いでは武器だが、守りの強度はどうしても弱く、カウンターで攻撃に打って出る時の爆発力もアフリカ系の選手と比べると劣った。
「プレー強度が足りない」
監督が不満を漏らすようになると、途中起用が多くなっていった。そして久保自身、エメリが求めることとのギャップで、自ら移籍を志願した。翻って、森保監督も久保の使い方には戸惑いがあるように感じる。そもそも、どのポジションで使うべきか。トップ下、右アタッカー、左アタッカー…。その迷いはエメリと同じで、今のところ主力として捉えていない。
筆者は、久保のように個人で打開できるだけでなく、連係にも優れた選手を起用し、他の攻撃的選手と組み合わせ、能動的に戦うスタイルを支持する。「日本人は技術、俊敏性に優れ、それをコンビネーションで使える」と欧州でも機動力が高く評価される。鎌田大地(フランクフルト)、堂安律(PSV)、奥川雅也(アルミニア・ビーレフェルト)、三笘薫(サン=ジロワーズ)などを束ねて強豪に対抗すべきだ。
しかし現実として、守りへの比重が高いだけに、ここに挙げたアタッカーたちは森保ジャパンで不遇をかこっている。