自己家畜化に貢献する日本の公教育
こうした人間が増えた責任のかなりの部分は、日本の公教育にある。
小学校に入って真っ先に教えられることは、「先生のいうことを聞く」「友達と仲良くする」といったたぐいのことだ。まずは上と横に注意を向け、社会のルールやマナーを学んでいくことが日本の公教育の最重要な方針だ。
そうした土台をがっちりと固めたあとで、中学受験、高校受験、大学受験と次々とノルマを課していくのだから、「自分は何をやりたいのか」「自分はどんなことをしていると楽しいのか」といった自分の生き方を思索する時間的余裕はない。
常に与えられたレールの上を走ること、正解がある問いを最短の時間で解くことが最も重要だと思うようになるのも当然だ。
そういう子どもが、正解があらかじめ与えられていない社会に出ると、「この先、自分は一体なにをやったらいいんだろう」と思い悩む大人になる。
やりたい夢があるから起業する、レールから外れることもいとわない、と主体的に、自らの道を選べる人は昔より増えてきているかもしれないが、全体から見るとまだまだ少数派だろう。