ロシアをあなどれない2つの軍事力

黒井 軍事面でロシアのあなどれない点は二つあって、まずは火力です。ハイテクなミサイルのストックは減っても、昔ながらの誘導しない砲弾などを作る力は低くありません。そして戦車など、ソ連時代のストックが山ほどあります。火力はウクライナの何倍もあり、継戦能力はまだまだあります。逆にウクライナは戦車はあっても弾薬が不足していたりします。

もう一つは空軍力ですね。この点ではロシアの戦力はウクライナの10倍くらいあります。
なので、現在でもウクライナが一方的に勝てているわけではなく、ロシア軍もまだまだ強いといえます。

ウクライナ戦争終結のカギを握るプーチン大統領。その後継者は子分か闇ビジネス仲間か、それともイエスマンか_2
ロシアの軍事移動対空システムと対空ミサイルの防空レーダー

山形 もし停戦が実現したとして、その後のロシアは国際社会でどのような立ち位置になると思われますか。

黒井 それは戦争の趨勢次第ですよね。ウクライナ側に立って戦うロシア人の部隊、自由ロシア軍団のスポークスマンが先日「プーチンを倒さないとこの戦争は終わらない」と言っていて、確かにそうだと思いました。プーチンが権力を握っていて戦況が互角の間は先細りしつつも現状維持でしょう。戦況が不利になると、地方のヤバい国として中国など他国の擁護も減って孤立していくと思いますが。

プーチン政権が倒れてロシアが敗戦したら、状況が変わるのは確実ではありますが、どうなるかは誰にも予測できません。それより今後しばらくは、プーチン体制が存続し、中国、イラン、シリア、北朝鮮ら独裁政権の陣営が連携するという脅威に世界は備える必要があると思います。