「心臓ドック」で突然死を避ける

ただ、ここまで健康診断を否定してきた私も、「心臓ドック」だけは定期的に検査へ行っても良いのではないかと思っています。

その理由は、「突然死」が怖いからです(残念ながら寿命が延びるエビデンスはないそうです)。

「ピンピンコロリ」と言われる突然死は、本人が痛みを感じづらいために理想的な死に方だという人もいますが、私にとって、突然死は絶対に避けたい死に方の一つです。

突然死が嫌なのは、死ぬ前に身の回りを整理できないからこそ。私は人に任せるのが苦手な性分なので、どうせ死ぬなら、自分がいま任されている仕事の算段をつけてから死にたい。

また、「死ぬ」と分かっているのなら、秘蔵のワインを飲んだり、食べたいものを思い切り食べたり、会いたい人に会っておいたりと、やれることはやっておきたい。だから、死に至るまでの準備期間がない突然死は、できるだけ防ぎたいのです。

60歳からの病院や医者との正しい付き合い方。「医者から処方された薬だから」と信じるのは体調を悪化の危険にも。突然死を避けたいなら「心臓ドック」が必要_2
写真はイメージです

突然死の死因として代表的なものは、心臓をとりまく血管が詰まる「心筋梗塞」です。つまり、心臓の血管に支障をきたすと、突然死の可能性が高まってしまうということ。

医学が進み、がんをはじめとするさまざまな病気の治療法が生まれていますが、突然、血管が詰まって死に至るレベルのものであれば、当然ながら治療する暇もありません。

逆に言えば、心臓の血管の状態をきちんとチェックさえしていれば、いきなり病気で死ぬ事態をかなり避けることができるのです。

その上で防止策となるのが、心臓ドックです。

まず、心臓ドックはCTを使って、心臓の周囲にある冠動脈が詰まりそうな箇所がないかを確認できるので、もしも冠動脈の血管に狭窄が見つかれば、血管を広げることは、手術は受けられなくてもカテーテル治療でできます。

また、脳ドックでは、MRIを使っていろんな角度から脳の画像を見ることで、脳動脈瘤を見つけることができます。

脳動脈瘤は、くも膜下出血を起こし、突然死に至るリスク要因ですが、脳ドックの段階で脳動脈瘤を見つけられれば、カテーテルを使って血管が破れないように対策することがある程度できます。ただし、これはうまい病院を探さないとリスクが大きいのも確かです。

「突然死したくない」と言う人は、数年に一度は心臓ドックへ足を運んでほしいと思います。