45歳でバイト「一番生活が苦しかった」

しかし、ぶっちゃあ自身に大きな変化はなかった。売れることなく、時間ばかりが過ぎていく。

その後、古巣に請われる形でサンミュージックに復帰する。

「お笑い部門を強化したいから力を貸してほしいと言われたからです。5年くらい、僕たちの思うようにやらせてくれるならということで戻ることになりました。そのころが一番、生活が苦しかった。45歳くらいのときには、引っ越し屋のアルバイトもしましたよ」

芸歴42年、ぶっちゃあ(68歳)「明日売れようと思って生きてます!」 ダンディ坂野、アンジャッシュらを育てた“黒子芸人”の夢_10

サンミュージックにはカンニング(竹山隆範・中島忠幸)ら、お笑いタレントがいたものの、売れっ子は育っていなかった。

「育成計画を練りましたが、あまりうまく回らない。『正社員になってくれ』と言われていた引っ越し屋に就職しないといけないかなと思った時期もありました。

復帰して5年半くらいに、僕たちの弟子のダンディ坂野が売れて、ヒロシ、小島よしお、髭男爵、鳥居みゆきがブレイクしていきました。“一発屋製造工場”と言われましたけどね(笑)」

一瞬で自身をアピールする武器があるのは強い。

「一発屋になれるって本当にすごいことですよ。『ゲッツ』と言えばダンディ坂野、『そんなの関係ねえ!』と言えば小島よしお。誰だってわかるんですから。

師匠の僕たちが賃貸住宅に住んでいるのに、ダンディは“ゲッツ御殿”を建てました。あいつは人力舎に残れなくて、僕たちを頼ってきたんです。不器用だったから同じことをやり続けた。それがよかったのかもしれませんね」

芸歴42年、ぶっちゃあ(68歳)「明日売れようと思って生きてます!」 ダンディ坂野、アンジャッシュらを育てた“黒子芸人”の夢_11