泣きながらノートに向きあった夜
「自分のことって意外に知らないな」
「自分のこともわからないヤツに、チームメイトのことがわかるわけがないよな」
まして、年齢もキャリアも考え方も違う~人の大人たちをまとめあげて、チームを引っ張っていくことなんてできるわけがない。
「まず、オレがどんな人間なのかをオレ自身がもっと知らないとダメだ」
こうして、ノートを使った「自分との対話」が始まった。まず、僕がノートに書き出すのは大体次の3つ。
自分の状態。メンタルや体がどんな状態なのか。
自分がやらなければいけないこと。
そのために必要なこと。
何ができて何ができないかについても正直に書いていくと、おのずと内容はラグビーのことだけではなくなる。人として足りない部分や弱さ、「人としてこうなりたい」ということも隠さずに書いていった。
「こんな考え方じゃアカン」
「じゃあ、どうしたらいいのか」
そう自問自答を繰り返していくイメージだ。
ノートを書き始めた当時は、毎日毎晩、自宅で1人ずっとこのノートを書いていた。孤独感とストレスで苦しくなって、夜、泣きながらノートに向かうこともあった。
ただそんな状況だとしても、僕が書くのは自分のことだけ。他人への不満や愚痴は書いたことがない。あくまでも自分自身と向き合い、対話するための作業だからだ。
ノートは1シーズンですべてのページが埋まる。自宅には、いっぱいに言葉を書き溜めたノートが7冊あるだろうか。最近はノートがタブレットのメモアプリに変わったが、ことあるごとに、シーズンの終わりや始まりといった節目ごとに、今も書き続けている。