目を覆いたくなる暴行動画
時代錯誤、いや、どんな時代でも許されないレベルの事件が起こった。
秀岳館高校サッカー部で、30代のコーチが男子部員に暴力を振るう映像がSNSで流出した。目を覆うほどのインパクトがあり、その撮影ができてしまうほど、頻繁に暴行が行われていたことを示唆していた。
ただ、部員200人以上の強豪サッカー部で起きていた事件は、さらに闇が深かった。
動画拡散後、新たな動画がSNSで流出する。複数の男子部員たちがカメラの前に立って、経緯を説明して謝罪。未成年にもかかわらず、顔出しだった。それだけで異様な光景だったわけだが…。
それだけでは事件は終わらない。
同高校の段原一詞監督がテレビ出演し、一連の事件について頭を下げた。この時、「謝罪動画は部員たちが自発的に撮った」と弁解していたが、真っ赤な嘘だった。段原監督がこの撮影に立ちあい、撮り直しまでさせていたことが明るみに出た。
「完全な被害者はたぶん俺だけ」
部内ミーティングでは、そうした趣旨の発言もしていた。監督が暴力を振るった事実は出てきていない。ただ、いくつも嘘を重ねるだけでなく、教職者であるにもかかわらず、顔を出させての謝罪(しかも、暴行を受けた被害者である)など言語道断だった。簡単な内部調査でも20件以上の暴力行為があったことが発覚した。また、監督は暴力を振るったという事実は否定していたが、告発も出始めている。
リーダーがこれでは、組織が歪むのも当然だ。
日本の部活動では、未だに封建的な関係性に基づいた体罰やいじめのような問題が露見することがある。他にも似たようなケースが潜んでいると言えなくはない。日本では、まだまだ年齢による上下関係の意識が強く、それゆえの歪みが生じるのだ。
では、世界のサッカー育成環境はどうなのか?