AVデビューが第3の人生
――ある意味で世界が広がったのかも。
あと今のゴムはずいぶん薄いと思うね。昔のゴムは厚かったからパパは避妊を嫌がって、産後すぐにできてしまったこともあった。
――そうなんですね。
人から見たら私の人生、刺激的に映るのかもしれないけど、私はあんまりそう思ったことはないね。
でも、同年代の人たちとは全然話が合わないの。「ここのところ体の調子が悪くて」とか「免許返上したよ」とか、夢のない話ばかりなのでおもしろくもなんともなくてさ。
――だから若くいられる。
結婚して第一の人生。スナックで第二の人生。そしたらセクシー女優デビューでしょ。人間って第三の人生まであるものなの?
81歳から初めて、まだ10年経ってないけど、いつまで続くことやら。
――ちなみにご家族は小笠原さんの仕事を知っている?
娘は嫁いだからもう関係ないけど、息子には言いましたね。そしたら「ママが元気で長生きしてくれればけっこうです。好きなことしてくれ」と言われちゃいまして。
――パパが生きてたらセクシー女優にはならなかった?
やれない、やれない(笑)。
――今、大事にしていることは?
健康を自分で管理して、人の厄介にならないこと。大事なのは、悪くなる前に対処することだから、病院には定期的に行ってますよ。
おかげで、今でも走れるし、車だって乗る。高速道路も乗りますよ。タバコは2日で1箱くらい。お酒は日本酒が好きね。飲むときは冷で5合くらい飲むわね。
――すごい……! ただ、セクシー女優もスナックも、人から誘われて始めたことですね。今後自分からやりたいことはありますか?
そういえばそうね。やると決めたら、ちゃんとしたいという気持ちが強いけど、自分でこれがやりたいっていうのは……そうねぇ。
私がしたいことは、自分が描く自分像がちゃんとしているかってことなのかもしれません。じゃなきゃ、アダルト業界の勉強なんかいまさらしないでしょ。
※
90代も元気でやれるうちは女優の仕事をがんばりたいと話す小笠原さん。今でも週に3回程度、八王子のスナックでバイトをしている。元気で、日々楽しく暮らし、理想の自分像をいまだに持ち続けている。
取材・文/中山美里 撮影/Soichiro Koriyama
集英社オンライン編集部ニュース班