ここは、心疾患が死因のトップであるアメリカではない

コレステロールは動脈硬化を促進し、心筋梗塞のリスクになるという理由で悪者としてみられていますが、日本の高齢者にとっては必ずしも忌避すべきものではありません。

心疾患が死因のトップであるアメリカであれば、コレステロールが悪者とみなされるのもわかります。しかし、日本では心筋梗塞の12倍もの人ががんで亡くなるという疾病構造の違いがあり、心疾患で亡くなる人はOECD諸国の中でも格段に少ないのです。

動脈硬化を気にするより、コレステロールを減らすことによってもたらされる男性ホルモンの減少を恐れるべきです。

肉が嫌いであったり、体調の問題で食べられないのならば無理をすることはありませんが、健康のために節制のつもりで肉食を遠ざけているのであれば、そのようなことは今日からやめることをおすすめします。

日本の高齢者の食事を見ていると、自ら進んで「しょぼくれ老人」になろうとしているように、私には思えて仕方ありません。

80歳のときに3度目のエベレスト登頂に成功した冒険家の三浦雄一郎さんは、80歳を過ぎても500gのステーキを平らげていたそうです。特殊な例ではありますが、高齢になってもアスリートとしての能力を維持できている理由の一つに、肉を食べる習慣があるのだと私は思います。

#1『「リタイアしたらランチは外食をすべき」「コレステロールは高くていい」東大卒の医師がたどり着いた健康長寿の真実…“食べたい物を好きなだけ食べればいい”』はこちら

#3『高齢者でやせ型の人は、やや太目の人よりも6~8年早く死ぬ…東大卒医師が警鐘「長生きしたけりゃダイエットはやめろ!」「70代超えたらタバコをやめるな」学者・官僚の誤った指導に憤りも』はこちら

『幸齢者 幸せな老後のためのマインドリセット』(プレジデント社)
和田秀樹
2023/6/15
1,210円
208ページ
ISBN:978-4833440523
2022年オリコン年間本ランキング・作家部門第2位、和田秀樹さん最新刊!

高齢者が共通して「後悔」していることが6つある。
「がまん」をやめれば、「つらい高齢者」は「しあわせな幸齢者」になれる。
高齢医療の専門家が優しく教える、今日からもっとラクに生きるためのコツのコツ。


70歳を超えて楽しく、充実した暮らしを送っている人は、高齢者ではなく“幸”齢者。呼び方を変えれば「超高齢社会・ニッポン」はもっと明るくなる、みんなが笑顔に、心豊かになれる──。

長年医療の現場で高齢者たちを見てきた和田さんは言います。
「いま本当に必要なものは、60歳以降の“マインドリセット”です。つまり、考え方のスイッチです。これをやらなければ、どんなにいい方法を提案しても、現実は何も変わらないということを確信しました」。

そこで本書ではまず、後半生を豊かに楽しく生きることを阻害する数々の「壁」の正体を具体的に明らかにしていきます。そのうえで、固定観念を乗り越えるための「マインドリセット」の方法を優しく語ります。

「日本を、苦労を重ねて人生をまっとうしてきたすべての高齢者が“幸せ”を意味する“幸”齢者と呼ばれる国にしたい」と心から願う老年医療専門家・和田秀樹さんが、高齢者ご本人、また老親のいる現役世代へ贈る、「本当に伝えたかった」メッセージ。

【目次】
序 章 「幸齢者」へのマインドリセットのすすめ
第1章 「お金」へのマインドリセット
第2章 「子ども」へのマインドリセット
第3章 「夫婦」へのマインドリセット
第4章 「医療」「健康」へのマインドリセット
第5章 「生き方」「生活」へのマインドリセット
終 章 マインドリセットカ条 
amazon