まだまだ日本人は肉不足である

「意欲の低下」を防ぐためにできる手軽な方法としておすすめしたいのは、「肉を食べる」という方法です。

高齢になると、肉を控えた野菜中心の食事が体にいいと考える人も多く、現役時代と比べ、かなりあっさりとした食事を毎日摂るようになるようです。しかしそれは間違いです。粗食がいいと信じる高齢者が多いためか、じつは70歳以上の日本人の5人に1人が、タンパク質不足だといわれています。

日本人の食生活が欧米化してきたといわれますが、それでも一日当たり100gほどしか肉を食べていません。一方、アメリカ人は300gほど食べています。アメリカ人ほど食べろとは言いませんが、まだまだ日本人は肉が不足しているのです。そしてその傾向は、高齢者ほど強くなります。

年をとると意欲レベルが低下してくる理由はいくつかありますが、その一つが、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの減少です。セロトニンは別名「幸せホルモン」ともいわれ、人に幸福感をもたらすものです。何気ない瞬間に「ああ、幸せだなあ」と感じることがありますが、そのような感情をもたらす物質です。

70歳以上の日本人の5人に1人が “しょぼくれ老人”…「タンパク質不足の日本人よ、老けたくなければ、とにかくもっと肉を食え!」と東大卒医師が警鐘するわけ_3
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肉を食べる習慣が「老い」を遠ざける

このセロトニンは年齢とともに次第に減少していくので、高齢になればなるほど意欲も低下し、うつ病になる人も増えるのです。

しかし、高齢化によるセロトニンの減少には、生活習慣を改善することで対抗することができます。

その最たるものが、肉を食べることです。セロトニンの材料となるのはトリプトファンというアミノ酸ですが、それが多く含まれているのが肉なのです。肉を積極的に摂ることで、セロトニンの生成が促進され、意欲低下の抑止に働きます。

また肉には、男性ホルモンの原料になるコレステロールもたくさん含まれています。

つまり、肉を食べてトリプトファンとコレステロールをたくさん摂ることは、セロトニンと男性ホルモンの生成を促進し、人の「意欲」を高めます。活動レベルを維持するのにたいへん効果的なのです。