過激パフォーマンス編②
〜泯比沙子、ばちかぶり〜
変態的な過激パフォーマンスを繰り広げたミュージシャンは他にも数多くいた。
センセーショナルな話題を巻き起こした泯比沙子、今やナレーター界で誰もが一目置く存在である田口トモロヲがその代表格。
やっぱりとんでもない時代だったのだ。
泯比沙子
九州を中心に1983年から音楽活動を開始した泯比沙子(みんひさこ)は、ライブ中に生きたセミを食べたり、自分の体に針を突き立てたりするパフォーマンスが口コミでじわじわと伝わって、当時のインディーズ好き少年少女たちをざわつかせていた。
いくつかのユニットやバンドを経て、泯比沙子withクリナメンを結成した1985年の9月には、ステージ上で下着を脱ぎ捨てるなどのパフォーマンスが雑誌「フライデー」に掲載され、“博多の狂乱娘”=泯比沙子の名が、アンダーグラウンドながら全国区となった。
儚げに見える10代の少女であるにもかかわらずステージ上で全裸になったり、ナイフで体を傷つけたりする危うさで名を馳せたが、音楽的にも評価が高く、現在もさまざまなバンドやユニットで断続的に活動を続けている。
ばちかぶり
今やナレーターとして、NHK『プロジェクトX』をはじめとするドキュメンタリー番組で美声を響かせる田口トモロヲは、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどの顔を持つ多才の人。
そして、文学的でシニカルなテイストのパンクバンド、ばちかぶりを率いていた1980年代は、過激なパフォーマーとしても有名だった。
「JAGATARAから影響を受けた」と公言するだけあって、ステージ上での排泄や嘔吐、全裸パフォーマンスは当たり前。
ライブスタート時に炊飯器のスイッチを入れ、炊き上がったご飯の上に脱糞したパフォーマンスは今や伝説となっているが、これはばちかぶりの前にトモロヲがやっていたガガーリンというバンドでのエピソードである。
出演した『笑っていいとも!』では、「気が小さいからすぐにチンチン出したり、ウンコとかしちゃうんですよね」と語ったが、根が生真面目な田口トモロヲは、ステージで脱糞パフォーマンスをすると決めると、前日から下剤を飲むなどして体調を整えていたという、今や笑っていいのかどうか微妙なエピソードが残っている。