すでに「次は秋解散か」との憶測
結局、16日になる前に「解散は考えてない」と表明した岸田首相。
政府与党幹部がこれまで「内閣不信任決議案が出されたら解散だ」と陰に陽に発言を繰り返してきただけに、「岸田首相が勝負から逃げた印象が強まってしまった」と与党関係者は嘆く。
一方で、立憲幹部からは「選挙になったら本気で戦うつもりでいたが、正直解散がなくてホッとしている」との声も漏れた。
強気だった立憲だが、現時点ではまだ衆院選で擁立する候補予定者数が150人に届いておらず、選挙の準備が出来ているとは言い難い状況だったからだ。
維新も同様の状況にあり、両党は今後、次期衆院選に向けて準備を加速し、しのぎを削っていくこととなる。
今国会の解散が見送られたばかりだが、すでに「次は秋解散か」との憶測が飛び交っている。
岸田首相の目玉政策である「次元の異なる少子化対策」では、児童手当の拡充などが発表された一方で、国民負担の議論に直結する財源確保策については年末まで結論を出すのを見送った。
冬に向けて社会保険料の引き上げなど、国民に負担を強いる事案が複数あるため、「冬になる前に解散すべきだ」(与党関係者)との意見は根強い。
ただし、このような政府与党の都合ばかりで解散戦略をこねくり回していては、国民の政治に対する不信感は高まるばかりだろう。
岸田首相は一度、解散総選挙という勝負の舞台から降りたからには、客席に並んでいる観客たちがいま、どんな顔をして舞台を眺めているのか、夏の期間をかけて、じっくり見て回ってもらいたい。
取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班