情勢調査で40議席減という結果に及び腰?

そして同じタイミングで永田町では解散した場合の選挙日程も流れ始めた。
それは、16日に国会が解散されたあと、27日に衆院選の公示が行われ、7月9日に投開票が実施されるというもの。
7月8日が故・安倍晋三元首相の一周忌であることから、与党関係者からも「安倍さんの命日になってさまざまな報道や特集が組まれるなか、岸田首相はそれを利用して弔い合戦のように選挙を演出するつもりだ」という声が挙がっていた。
しかし、結果的に、この選挙日程は幻と消えたことになる。

なぜ、ここまで解散の流れができていたのに、岸田首相は踏みとどまったのか。
その要因のひとつが、自民党が6月に入って実施した情勢調査の結果だと言われている。
調査による各政党の獲得議席数は「自民220、公明23、立憲114、維新75、共産13、国民民主9、れいわ6、参政1、その他諸派9」とされており、自民が40議席以上を減らすという衝撃の結果となった。

マイナンバーカードでのトラブル続出で矢面に立たされる河野太郎デジタル大臣(本人faceboookより)
マイナンバーカードでのトラブル続出で矢面に立たされる河野太郎デジタル大臣(本人faceboookより)

実際、マイナンバーカードを巡って誤登録などのミスが相次ぐなど政府への批判は高まっており、報道各社の世論調査でも岸田政権の内閣支持率は下降局面にある。
また、東京での候補者擁立を巡って、自民と公明の関係はギクシャクしたままで、このまま東京の選挙区で自民候補が公明から推薦をもらえなければ、選挙で大打撃を受けるとも言われている。
与党議員からも「議席が減ってしまうなら無理に解散する必要はないのではないか」との声が漏れ始めていた。

こうしたなかで、逆に強気になったのが立憲である。
政党支持率で維新に追い抜かれるなど党勢が低迷している立憲だが、とはいえ、まだ維新は大阪周辺以外で選挙戦を勝ち抜く地力はない。
自民相手に有利な戦いを展開できるのであれば、選挙ではまだ勝機があるとし、立憲の執行部では主戦論が強まっていった。
そして15日のうちに立憲が「解散の大義になる」とも言われてきた、現政権に退陣を求める内閣不信任決議案を16日に提出する方針を決定。
解散するか否かのボールは完全に岸田首相に委ねられた。