「情勢をよく見極めたい」と含みを持たせたが…
たとえば、今国会の対決法案のひとつになっていた防衛財源法案。
この法案の審議日程を眺めても、16日解散に向けた準備が行われていたことがわかる。
法案を巡っては、実施される防衛費の増額が、国民負担が増えることが前提となっていることから、野党各党は反対する姿勢で臨んでいた。
特に立憲は衆議院での法案審議の際、成立を阻止しようと徹底抗戦をし、財務金融委員長の解任決議案や、財務大臣の不信任決議案を次々に提出。一時は法案を成立させるためには国会の会期延長が必要になるのではないかと見込まれていた。
しかし、参議院ではこういった委員長解任決議案や、大臣問責決議案が出されることなく法案が採決されることに。16日に法案が成立するよう、急に日程が整えられていった。
防衛財源法案だけではない。
今国会で話題となっていたLGBT理解増進法案や、強制性交罪を不同意性交罪に名称を変更する刑法改正案も16日に成立するよう日程が組まれていったのである。
つまり、今国会の重要法案が全て成立し、岸田総理が心置きなく解散できる環境づくりが与野党協議の末に進められていたのだ。
それに呼応するように岸田首相自身の発言にも変化が見られた。
13日の会見で首相は解散について問われると「会期末間近になって、いろいろな動きがあることが見込まれ、情勢をよく見極めたい」と回答。
これまでは解散について問われても「今は解散は考えていない」と述べるにとどめていたことから、大きく含みを持たせる言い方に変わったと言える。