抗生物質の内服しすぎで腎不全のリスクが高くなる
4つ目は抗生物質です。
抗生物質はアレルギー性反応により、腎臓の機能にダメージを与えます。
腎臓の中のおしっこの通り道の隙間の部分の間質が、抗生物質のアレルギーによって炎症を起こしてしまい、さらにおしっこの通り道まで炎症が広がり、腎不全を起こすリスクがあります。
よく風邪だから抗生物質を出してほしいと言われますが、風邪の主な原因は抗生物質が効かないウイルスであることが多いので、飲んでも有効とはいえないのです。
かえって腸内細菌を殺してしまって、下痢の副作用を起こす可能性があります。
なので、ちょっと体調が悪いからと安易に抗生物質を飲むことは腎臓には悪い影響を与えるということを覚えておいてください。
5つ目は造影剤です。
造影剤はお腹や胸などのCT画像を撮るときに使われる薬です。
血管の中に造影剤を入れることで、体内の血管を巡り、臓器を染め上げて病気のある部分をくっきり浮かび上がらせます。
普通にCTを撮ってもわからない病気が、造影剤を入れることで見つかることがあり、例えば、肺の血栓や大動脈解離の発見に繋がるなどがあります。
ただし、頻度としては少ないのですが、この造影剤を使うことで、腎臓の機能を低下させてしまうことがあります。これを医学用語で造影剤腎症といいます。
造影剤腎症の発症頻度の割合は約1.5%です。
病院では、基本的には造影剤を使わないと異常がわからないためと判断しているので、高齢者や腎臓機能が低下した人には、普通の点滴の中に造影剤を薄めておいたり、造影剤の量を調整したり、などして医療現場では対応しています。
なので、腎臓が悪いからといって造影剤が使えないということではありません。
薬には効能はもちろんありますが、副作用もあります。
大切なのは、薬は用法や用量を守って飲むこと。
そして、普段の健康診断で、腎臓の数値を確認して、腎臓の状態を把握しておきましょう。
取材・文/百田なつき