不安を感じるのは当たり前のこと

そして、進化心理学的には、石器時代から、人間の心のメカニズムは変わっていません。

生物は、気の遠くなるような長い年月をかけて進化していきますが、現代文明が生まれてから今日までの時間など、人類の長い歴史から見ると、ほんの一瞬です。
いくら文明が発達して、ちょっとしたことで命を落とす可能性が減ったからといっても、私たちの心や体は石器時代のままであり、不安を完全に手放せるほど進化していないのです。

ですから、不安を感じることを、ことさらにネガティブにとらえる必要もなければ、不安をすべて取り除く必要もありません。

というより、人類が太古の昔からつきあってきた不安という感情を完全になくすことは、おそらくできないでしょう。

私たちが不安を感じるのは当たり前のことですし、適度な不安は、個人においてはやる気の源ともなります。

しかし、不安が大きくなりすぎると、すでにお伝えしたように、仕事ややるべきことが手につかなくなり、ときには心身の病気になってしまうこともあります。

ですから、不安とうまくつきあっていくこと、不安をコントロールすることが大事であり、そのためには不安の正体を知る必要があります。

太古より人間にとって不安こそが生き抜くための武器だった? 未来の不安を予想しても「95% 」は当たらないもの_2