もう見られない? 幻の大技
――では2つ目をお願いします。
2つ目は、“麒麟”というサスケの術があるんですけど、岸本先生の画力と作画のテクノロジーが融合した、すごくいいシーンだなと思っていて。
連載当時は「このシーンはどうやって描いてるんだろう?」って疑問に思っていたんで、岸本先生にお会いした時にお聞きしたんです。すると、岸本先生が昔持っていたコピー機の“中抜き”という、太い線を描くとアーチ型の線だけを残して、中だけ白く抜いてくれる機能を使っているそうで。
「中抜きっていう機能があったんだけど、もうなくなっちゃったから、麒麟はもう描けなくなっちゃったんだよ」みたいな話をされて、「なるほど」と思って。その後に改めて見たら、中抜きの線が三重ぐらいになっているんで、「何回もコピーしてるんだ!」と驚きましたね。
――では3つ目をお願いします。
3つ目は、やっぱりこの風景になっちゃいます。
「『NARUTO -ナルト-』と言えばこの風景だ」という感じで、下描きは岸本先生が、ペン入れはアシスタントさんがされていたそうなんですが、はたしてこの下描きを週刊連載で描けるのかな、と思って。
その速さもすごいですし、このパース感というか構図も、作中の後半部分でサスケが里に戻って来るシーンがあるんですけど、それと対比になっていて。ナルトは右から左を見ているんですけど、サスケは逆で。
ナルトのセリフは「全然変わってねー」で、サスケは「ずいぶん変わった」で、セリフも対になっていて、上手いのはもちろんですけど、もう最高ですね。演出込みの選出になってしまうんですけど、幼い頃に一番衝撃を受けたのはこのシーンですね。