♯1【長野立てこもり4人死亡】「政憲は警官を撃った後に笑っていた」「刺された女性は瞳孔が開き硬直がはじまっていた」救助者が語る悪夢の殺害現場
♯2 新証言「クレー射撃場に通っていた」長野4人殺害・青木政憲容疑者の過保護すぎた履歴書「高校生になっても両親が送迎」70歳の母を殺害された息子の慟哭…
♯3 “一番大事なものは「命」、次に「金」”長野4人殺害・青木政憲容疑者の卒業文集の中身。クラスメイトからは「空を飛べそうな人」「社長になりそうな人」、小学生の頃は医者を夢見ていた
パトカーが来たので
また犬が保護でもされたのかなって思った…
衝撃の事件から3日後の日曜日(5月28日)、地元紙「信濃毎日新聞」の朝刊に冒頭の文言が踊った。投降するまでの12時間、重大犯罪を起こした息子と対峙した母親がインタビューに応じてその内容を赤裸々に語ったのだ。
政憲容疑者は、いつも2人で近くを散歩していた村上幸枝さん(66)と竹内靖子さん(70)をサバイバルナイフで刺殺した。その動機を母親に「2人がべちゃべちゃしゃべって歩いて行く。俺のこと『ぼっち(独りぼっち)』とからかいながらばかにしているんだ」と伝えた。実際に2人の被害者から「ぼっち」と言われたかについて母親は地元紙の取材に「幻覚だと思う」と答えている。
母親が懸念したように、息子が被害妄想を強めていた兆候は確かにあった。それは政憲容疑者自らが招いた飼い犬を巡るトラブルだ。親戚の女性が語る。
「政憲くんはたしかに犬は可愛がっていたねえ。逮捕の時のテレビの映像でもまるで最後のお別れというように頭を撫でてたでしょ。今飼ってる犬は紀州犬なんだけど、前にも雑種だと思うけど『シロ』って犬を飼ってたんよ。今の犬は名前がわからないけど。政憲くんが自宅のプラムの畑に網を張って放し飼いにしてて、その網を食い破って犬が外に出てきてね。私にも食いついてきたことがあるし、まぁそのトラブルは何度もあったんだけど」
近くの住民女性も何度も犬に関するトラブルを目撃してきた。
「前に飼っていたシロが2年くらい前に亡くなって、そのあと割とすぐに今の白い紀州犬を飼い始めたと思います。ご両親が犬を可愛がるところは見たことないですが、政憲さんが畑の方を散歩したりしていたので、家族の中では特に可愛がっていたと思います。
ただし、前のシロも今の犬も放し飼いで、その辺を歩いてる人に噛みついたり、よその家の庭に入ったりして、警察にも何度か通報されてたんです。警察が犬を連れて政憲さんに引き渡すところも見たことありますよ。大きな犬なので、『放し飼いにするのは危険だろ』と怒っている住民も少なくないです」
そして25日午後4時半ごろ、迷彩服姿の政憲容疑者が愛犬を連れて付近をうろつく姿に、女性は胸騒ぎがした。
「政憲さんが変な格好して家に戻るのが窓から見えて、そのあとパトカーが来たのでまた犬が保護でもされたのかなって思って、様子を見に出たんです。そしたら政憲さんが犬と一緒に玄関前をうろついたり、出たり入ったりするようになって、嫌な予感がしたと思ったら警察のかたに『銃を持ってる人がいるから家に入って鍵をかけてください』と注意されたので、家に避難しました」
この時すでに、政憲容疑者はパトカーに散弾銃を発砲、警官2人を射殺した後だったのだろう。
女性が続ける。
「警察官が青木さん宅の母屋の影に隠れて『銃を下ろしてください』と呼びかけたものの、政憲さんは無表情で返事も全くせず、ただウロウロしてました。そうこうしているうちに、日が沈んだのを見計らったように警察のかたがウチにきて『ここの2階から青木さんの家がよく見えるので、貸してください』と依頼されたので、案内しました。外には重装備姿の特殊部隊の人たちが10人ぐらいずらっと並んで、他に制服警官も20人ぐらいはいて、かなりの臨場感がありました」
社会部記者が語る。
「当初は警視庁や神奈川県警の特殊部隊も応援に駆けつけたのですぐに解決すると思われていた。ですが特殊部隊が家に近づこうとすると、すぐに飼い犬が吠えたため難航したようです」