新人賞「ジャンプTOONアワード」の狙いは
――5月30日に「第1回 ジャンプTOON AWARD」の開催が発表されました。この新人賞の概要を教えてください。
プロ・アマ問わず、縦読みマンガを投稿する新人賞です。縦読みマンガ事業を始めるにあたって色々な調査をしているのですが、あらためて現在は、歴史上で一番マンガ家さんの数が多い時代だなと感じています。SNSやイラスト投稿プラットフォームなどでも、縦読みマンガを投稿している人が存外に多いというデータもあります。そういった方々に投稿してもらう受け皿になるべく、新人賞「ジャンプTOON AWARD」をスタートします。
――どのような作品を求めていますか?
こちら側の立場だけでいうと、魅力あるキャラクターがいる「長編」を読みたい。その上で、「先がどうしても読みたい作品か」「繰り返し読みたい作品か」――この2つがカギになると思っています。
今のウェブトゥーン市場は、単話課金のビジネスモデルをもとにしていることもあって、「先が読みたい」作品が多いです。一方で「繰り返し読みたい」は、これまで横開きのマンガが単行本の形式でやってきたことでした。この「繰り返し読みたい」も縦読みマンガで達成するようなチャレンジを、作家さん、アプリ開発会社さんと一緒にやっていきたいですね。
――クリエイターの方にとって、「ジャンプTOON AWARD」に投稿するメリットはなんでしょうか?
手前味噌になってしまいますが、世の中に数多くのコンテンツがある中で、「ジャンプ」という冠がつくことには、作家さんから価値を感じていただけるのではないかと感じています。
集英社はマンガ事業に関してはかなりクレイジーな人間が集まっています。たとえばアプリ「少年ジャンプ+」のビジネスモデルは、アプリ単体で収益を得ることよりも、作品を産み出すことに特化しています。それは結局「作家さんの作品を多くの人に届けたい」という思いが体の奥底まで染み付いている人間が作っているからなんですね。「ジャンプTOON」事業もこれと同じです。集英社が非上場企業であることもある意味では強みで、短期的な結果に左右されることなく、マンガ家さんと最後の最後まで一緒の船に乗る――そういうスキームにするべく、我々は準備しています。
――最後に、「ジャンプTOON AWARD」への投稿を考えているクリエイターの方へのメッセージをお願いします。
「読者を楽しませたい」「読者を驚かせたい」。そういう企みのある作家さんと一緒にお仕事をしたいです。単純にワクワクしませんか? 「ウェブトゥーンだからこういうジャンルじゃないとウケない、売り上げが立たない」という“正解”に向かって進むだけの仕事って、「それってマンガだったっけ?」と思っています。
人の心を動かす。人を楽しませる。人を驚かせる。そんな作品を我々と一緒に作っていきませんか?……というのを、メッセージとさせていただきます。
取材・文/集英社オンライン編集部 写真/長谷部英明
「第1回ジャンプTOON AWARD」詳細はこちら
https://award.jumptoon.com/