朝ごはんシーンに映画の魅力がつまっている!
──『宇宙人のあいつ』は朝ごはんが家族にとって重要な時間ですよね。食べながら芝居をするのは大変ではないかと思うのですが、食事シーンの撮影はいかがでしたか?
俳優は、2つのタイプに分かれると思うんです。ひとつはマナーを大切にしていて見ている人が不快にならないように気をつける人。もうひとつは、口にご飯が入ったまましゃべっても気にしない人。
真田家の4人を演じた俳優たちはみんな後者だったので、「怒られたら直せばいいかな」くらいの気持ちで演じていました。「熱っ!」となって口からこぼれても、拭いたりするリアクションが取れれば成立するので。僕は食事シーンに対してそれほど苦手意識はないです。
──真田家の朝ごはんで行われる真田サミット(家族会議)も魅力的でした。家族が全員揃って食事の時間に話し合うことは、大人になると意外とできないことだと思います。
僕は最初に脚本を読んだとき、飯塚さんがこの映画で描きたかったことがあのシーンにつまっていると思いました。
僕が子どもの頃、家族で食事をするのは普通の光景でしたが、今は家族でテーブルを囲んでもスマホをいじったりして別々の方向を見ている……ということもあるのかなと。実家を出てからだいぶ経つので本当のところはわからないけど、そんな気がしたんです。
でも真田家は、朝ごはんは必ず家族一緒に食べて、大事なことは食事の時間に共有する。「それっていいよね!」と飯塚さんは考えていたんじゃないかな。僕もそれは素敵なことだと思います。
──ちなみに中村さんの理想の朝ごはんは?
今の理想は、米と味噌汁と卵焼きと焼き鮭、それからソーセージなどのお肉を少々とミニサラダとたくあん……いわゆる和定食ですね。
子どもの頃はパンが好きだったんです。親の目を盗んで、焼いたパンにどれだけピーナッツクリームを塗れるか挑戦していました。あとコーンフレークも好きでしたね。
──中村さんの家は、家族みんなで朝ごはんの食卓を囲んでいたのですか?
確か親父は先に食べて仕事に出かけていったのかな。オカンも先に食べていたような気がします。僕には2つ年上の兄がいるのですが、学校の時間が被っているので、兄とは一緒に朝ごはんを食べることが多かったのではないかと。起きた順番で食べていくのが中村家の朝ごはんでした。
──中村さんにとって朝ごはんは重要な食事ですか?
休みの日は大体、「朝ごはん、何を作ろうかな」から始まりますが、こだわりがあるわけではなく、仕事の都合で変化していくことはあります。朝ごはんを食べない日もありますから。
でも役作りで体を絞ったり、鍛えたりしないといけないときは、食事には気を使いますね。『仮面ライダーBLACK SUN』(2022)の撮影のときは、身体を絞って撮影に臨んでいたので、1日の食事量など考えて、体をいい状態に持っていけるように意識していました。
──映画では、日村さんが演じる夢二兄さんと兄弟みんなが毎日楽しそうに会話していますが、中村さんと実のお兄さんの兄弟関係は?
普通の兄弟だと思いますよ。用事があれば連絡するけど、特に用事がないときは1年くらい連絡取らないこともありますから。仲の良し悪しではなく、男同士ってそんな感じなんじゃないかな。真田家の兄弟関係がとても密なのは、長男が親代わりだから。うちの兄弟とはちょっと違いますね。
──確かに真田家の仲のよさは突出していると思います。夢二お兄ちゃんと「リンダ リンダ」を歌うシーン、よかったです。
50代の日村さんが学生服を着ているという(笑)。面白いので、写真をたくさん撮りました。
──撮影合間は、映画の真田家のように賑やかだったんですか?
基本的に僕と日村さんがボケ続けて、沙莉がいちいちツッコんできて、ワンテンポ遅れて時生が入ってくる感じでした(笑)。時生はボケツッコミの輪に入りたいけど、もともと主導権を握るタイプじゃないので、自分から仕掛けられずにワンテンポ遅れてしまうという。でも彼のそんなところが真田家の弟としていい雰囲気を作ってくれました。