カルーセル麻紀に初めて会ったときの印象

――それが「タンスにゴン」のCM出演、そしてオネエキャラでの再ブレイクにつながると。

最初は男で売ってたからもちろん抵抗はあったわよ。一人称だって「僕」だったんだから。でももう戦う気持ち。ここで一発当てようと思ってました。

そしたらもうすごいことになっちゃって。今までの歌手は歌のヒットでブームにはなっても、キャラクターでブームになったことはない。本当にすごかったわよ。駅に降りたら山のような人だかりで。

――狙い通りになったと。ところで美川さん自身は完全な“ストレート”なんですか?

性格は完全に男ですね。先日、番組で共演した占い師の木下レオンさんに「根っこは武将」と言われて、まさに、って感じ。
一方で、オネエキャラでいく前から着飾ったり、キレイなものを見るのは好きだったわね。お化粧はしなかったけど。そういう意味では男の部分と女の部分が半分ずつあったのかもしれないわね。

「性格は完全な男」「オネエキャラは商売になると思ったから」美川憲一、90年代再ブレイクの秘密。ホステスに「オカマ」とからかわれてブチギレ、ヤクザに土下座謝罪させたことも…_2
「東京レインボープライド2023」のステージで歌う美川憲一さん

――美川さんは“元祖オネエタレント”のカルーセル麻紀さんともご親交があるそうですね。

初めて会ったのが昭和42、3年だったかしら。私が20代前半でデビューしたちょっと後くらいね。大阪に大劇(だいげき。大阪劇場)って劇場があって、そこでコンサートをするときに私の追っかけをしてた“青江のママ”っていうゲイバーのママが後輩の麻紀ちゃんを連れて見に来てたの。

まだ性適合手術前だから男性だったんだけど、初めて見たときはそれはもう不思議な感じだったわよね。でも麻紀ちゃんはすごいわよ。今みたいに理解がゼロの時代にそういうこと(性適合手術)をやるって。

――それから約30年経って、美川さんがオネエキャラでやっていくと聞いてカルーセルさんの反応は?

「おもしろいわね」と言ってくれた。私がバラエティに出てバカなことを言うと「おもしろかったわよ」ってわざわざ電話をかけてくれたし。

麻紀ちゃんは芯の強い人で、有名な話だとおすぎさんのラジオに出たときに「私たちオカマは」と言われて「何がオカマだ、てめぇ」と怒って帰っちゃったことがあるくらい。

自分がバカにされたと感じたときはちゃんと強く言うってところが、麻紀ちゃんらしいと思いますね。