育休ドラマ、コメディよりもシリアスを望む
NHKに話を戻そう。前述の情報番組、webでも男性の育休取得について立て続けに触れ、この春は満を持して『育休刑事』がスタートした。前述通り、ドラマは面白い。原作漫画も人気らしい。
でも漫画とドラマは相寄ることができない部分もある。
総じて思うのは「これ、育休中の刑事である必要はあるのか?」。
1話完結の本作では、ラストシーンで事件解決のカギを息子が握るという、タイトル回収に近い表現はある。でも贅沢を言わせてもらうのならば、もう少し育児中の現実を表現する内容でもよかったのではないかと思う。
情報番組、webとアプローチを都度変えて、男性の育休について取材を重ねてきたのであればネタは揃っているはず。コメディではなく、もっとシリアスなドラマの方がより反響を得られたのでは……というのが、独身なりに感じた、NHK、男性の育休取得、春の陣に対する意見である。
出生率が減少している今、若者に夢と希望を与えるのか、事実を伝えるのか。いずれにしても育休取得をする社員が、後ろめたくない環境をデフォルトにしたい。
……余談だが『育休刑事』主演の金子大地は、個人的に注目している俳優である。2019年にNHKで放送された『腐女子、うっかりゲイに告る。』で演じた、ゲイの高校生役の演技に胸打たれた。
こちらの作品、同性愛者であることを家族にも友人にも言えず、思い悩む高校生の葛藤が描かれている。放送当時は観ながら、大号泣。とてもデリケートな役を演じ切った金子さんであれば、共感を呼ぶ、本当の育児パパを演じることができると思うのだけど……。
文/小林久乃