真に迫りすぎてメイン女優を泣かしたことも
また、一般作のエキストラと違い、アダルト作品のエキストラならではの心構えもあるという。
「私たちエキストラは状況を自然に演出する背景でありながら、ドラマシーンを説明する役割も任されています。だからこそ、私がイビリ役だったら本気で叱って女優さんを怖がらせます。
前に一度、本気で怒りすぎて女優さんを泣かしてしまったこともありました。私は女優さんをその気にさせるのもエキストラの役割だと思っているので、泣かせたことは大成功だなと思うんですけど」
まさにその、新城さんが女優を泣かせたシーンを目撃し、衝撃を受けたというAVライターの東風克智氏は言う。
「サディスティックヴィレッジというメーカーの『健康診断』という、女性社員が男性社員の中で素っ裸になり様々な健康診断を強いられるシリーズがあります。
健康診断を拒む女性社員役の永井みひなちゃん(現女優名は「みひな」)に容赦ないビンタをかましていたのがまさに新城さんです。ビンタされたみひなちゃんは驚きと恐怖で顔を強ばらせながらも、健康診断を受け入れる様が迫真で、見る者をグッと惹きつけました」
「やはりAVにおけるメインは“絡み”。私たちの役割は女優さんがセックスに全力投球できるようにすること」と新城さんは自身の仕事哲学を語るが、それが前面に出たエピソードといえるだろう。
アダルト作品には、こういった “あり得ない状況”の作品は多い。だからこそ、それを盛り立てて作品を成立させる彼女は、“AV界の名優”の域にすら達している。
後編ではエキストラ女優のギャラ事情や身バレについてうかがってみよう。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班