365日毎日自助グループに通って習慣づけを行う
こうした状況を目の当たりにし、両者に同じプログラムを受けさせることは回復に悪影響を与えると判断。2015年にギャンブル依存症者をダルクから分離させる形で、ギャンブル依存症回復の専門施設であるグレイス・ロードが誕生した。
ギャンブル依存症治療にかかる期間は、平均すると2年~2年半となっている。
治療フローは、まず1年間のギャンブル断ちから始まる。その後、テスト就労としてパートタイムで働き、半年間順調に続けられればフルタイム就労に切り換えて、約半年問題なく勤務できれば退所して自立するという流れだ。
しかし、仮就労の段階で問題行動に走ってしまう人もいる。そのような人は、仮就労期間中に月に5万円程度の給料が入ると、もうギャンブルに使いたいという欲求を抑えられなくなってしまうという。
「治療プログラムの過程で再発しても、社会に出てから失敗するよりはずっといいです。失敗した原因を分析して、何が問題だったのかを考えてもう一度やり直せばいいだけですから」
入所している期間中は、集団セラピー以外にもさまざまな治療プログラムを実践している。まず重要となるのが自助グループへの参加だ。自助グループで同じ問題を抱える人達に悩みを打ち明けることや、他のメンバーが話す問題に共感することが、依存症の再発予防に効果を持つ。
グレイス・ロードでは自助グループへの参加を習慣づけるために、365日毎日欠かさず入所者を自助グループに通わせている。
「ギャンブル依存症からの回復とは、依存症問題を解決して社会復帰し、社会の中でギャンブルをやめ続けていく作業です。そのためには、自助グループに通って再発予防することが非常に重要です。だからこそ、自助グループへの参加の習慣づけは、回復に向けて大きな意味を持っています」