「国会のクイズ王」として有名に。
飲み会でもクイズ出題でご満悦

「サル」発言の小西氏とはどのような人物なのか、政治部記者が語る。

「東大出身で、旧郵政省を経て、政界入りしました。官僚時代は放送行政に携わり、先日は、独自に入手した総務省の内部文書から、放送法の『政治的公平』をめぐる解釈変更が、安倍政権時代の官邸の強引な主導によるものだったことを明らかにしました。小西氏はこの文書を1年ほど前には手に入れていたそうで、丹念に分析、裏付けをしていたことがうかがえます」

「サル」発言の小西洋之氏が更迭 「自分が一番頭のいい人間だと思っている」「大勢の前で産経記者を指さしこき下ろし」…永田町に広がる「コニタン」の悪評_2
立憲民主党の小西洋之参院議員が安倍政権当時の総務省作成として公表した、放送法の「政治的公平」に関する内部文書
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立憲のベテランも、小西氏を評価する。

「検察官の定年を延長する検察庁法改正案が『権力にとって都合のいい検察幹部のみを恣意的に幹部として残せるようになる』と批判され、世論が盛り上がっていたときも、小西氏は過去の政府答弁との矛盾をつくなど、元官僚の嗅覚と調査力を武器に、活躍していました」

一方で、こうも指摘する。

「それだけに、自分が一番頭のいい人間だと思っているようで、自分の得意分野になると、周囲を気にかけず、暴走しがち。『サル』発言も、いかにも周りを見下すコニタンらしい」

小西氏の仕事ぶりでよく知られているのが、細かいクイズのような国会質問だ。2013年の予算委員会では、「憲法において包括的な人権保障、包括的な人権規定と言われる条文は何条ですか」と安倍晋三首相(当時)に「出題」。

安倍氏が「今そういうクイズのような質問をされても、暫定予算を議論をしているわけでありますから、あまり生産性はないんじゃないですか。そういうのを聞くんだったら、私に聞かなくても、調べればいいじゃないですか」とあきれながら応じると、小西氏は「私は知っています。今総理が答えられなかったことは、大学で憲法学を学ぶ学生が一学期でみんな知っていることですよ」とたたみかけた。

その後も安倍氏が答えられずにいると、小西氏は正解を教えることなく、「総理は、日本国憲法において包括的な人権保障を定めた条文が、何条か知らないという理解でよろしいですか」「では、幸福追求権を定めた条文は憲法第何条ですか」と、その後もクイズを続けた。

「国会のクイズ王」は飲み会でも、クイズを出題するのが好きだという。

「『○○っていう学説知ってる?』『〇〇っていう学者は?』などと質問してきて、記者が答えられずにいると、『え、政治記者なのに知らないの?』と見下してくるのがおなじみの姿です。それでも、記者が後から『(小西氏の選挙区の)千葉県に住んでいるんです』と言うと、『どうぞよろしくお願いします。ご家族にもよろしくお伝えください』と、急に謙虚になって握手してきます」(全国紙政治部記者)

懇親会の乾杯あいさつで産経若手記者を指差し
「産経は本当にひどい新聞!」 

今回、「サル」発言をすぐにネットで報じたことで「今後一切の取材を拒否します」と名指しされた産経新聞に所属する記者も、小西氏のこんな一面を明かす。

「10年ほど前、千葉市内で当時の民主党の国会議員や地方議員、地元記者たちが集まる立食の懇親会が開かれたときのことです。会のはじめに、初対面の小西さんにあいさつしたら、にこやかに『産経さんとは国政ではバチバチやっているけど、地方では仲良くやりましょう! よろしくお願いします』と言ってくれました。意外といい人なのかなと思ったのですが……」

その後、乾杯のあいさつに立った小西氏がとった行動に、この記者は唖然とする。

「小西さんは、大勢の国会議員や地方議員の前で、会場の隅にいた私を指差し、『あそこに産経の記者がいますけど、産経は本当にひどい新聞です! 産経の政治部記者と裁判しているが、勝つ!』などとこき下ろし、笑いをとったのです」

当時若手で、千葉県政の取材を始めたばかりだった記者が戸惑っていると、乾杯のあいさつを終えた小西氏が軽快に近づいてきて、「ごめんねー。あいさつで触れちゃって。今後ともよろしくね!」と満面の笑みを見せたという。

「当然、その後『よろしく』することなんてありません。一切取材には行きませんでした」(前出の産経新聞記者)

今回の騒動でも小西氏は、産経新聞の記者に「記事を修正しろ」などと迫っているという。

全国紙政治部記者は、こうあきれる。

「小西氏は、放送法文書をめぐって、安倍政権がテレビ局に圧力をかけたと追及していましたが、自分にとって都合の悪い報道はけしからんと、小西氏自身が報道機関に圧力をかけていた、という笑えないオチです」

取材・文/集英社オンライン編集部