運命の出会いがスイッチに
岡山県で生まれ育った山本少年にとって、宮崎は縁もゆかりもない土地。
そんな彼が、越境入学を決意した理由が、のちに都城高校で監督と教え子という間柄になる森松賢容との出会いだった。
「森松さんは岡山の作陽高校でコーチをやっていたんですけど、その年の夏から都城の監督に就任していたんですね。その縁もあってウチのOBも都城に行っていたんですけど、挨拶に来てくれたときに由伸の投球を見て、たぶん一目惚れしたんでしょうね。
『あの子、連れて行っていいですか?』って言われましたね。一期一会ですよね、本当に。その出会いがなければ今の由伸はないと思います」
中学3年時点で、特に県内の高校から誘われるようなこともなかった。唯一、声を掛けてくれたのが、都城高校の森松監督だ。
「誘いがあるという話をしたら、由伸も『行きます』と。宮崎は遠いですけど、先に進学していたOBも、もともと仲が良い子でしたから決意はしやすかったのかもしれません。そこからは見違えるように野球に真剣に取り組み始めましたよ。指導者の立場からすると『もうちょっと早く、その本気を見せてくれよ』と思いましたけどね(笑)」