「3年間で由伸が一番伸びた時期が引退後」
中学校3年生のころの山本少年を見て、のちにプロ野球選手になることを想像できたか――。
そんな問いをぶつけると、4人はそろって「まったく思わなかった」と首を横に振る。
「全国大会に出るチームの主力ですから、もちろん下手ではないです。ただ、突出した才能を感じたかといえばそんなことはないし、それこそ全国大会の1回戦で対戦してホームランを打たれた高崎ボーイズの桜井君のような怪物でもない。
我々からすれば、『あの由伸が?』という感覚です。中学を卒業してたった3年でプロに行って、そこからあれよあれよという間にスーパースターになってしまった。正直に言うと、今でも実感はあまりないかもしれません」
指導者も驚くほどの急成長。ただ、それを予感させたのが、中学野球を引退して、高校に入学するまでの半年間にあったという。
「3年間で由伸が一番伸びた時期が引退後の半年間でした」
全国大会の1回戦で敗退したあとも、進学に向けてチームの練習に参加していた山本少年。時間があればブルペンで投球練習する姿を見て、指導者は「あぁ、もっとピッチャーの練習をさせてあげても良かったのかもしれないな」と感じていたそうだ。
毎日、黙々と行う投球練習。スイッチが入ったキッカケは宮崎の都城高校への進学が決まったことだった。