不安を煽らず介護と老後の話をしようー書籍『バンギャルちゃんの老後』刊行記念 藤谷千明×蟹めんまインタビュー_1
すべての画像を見る

趣味に生きるバンギャル(ヴィジュアル系バンドのファンの呼称)が、「老後の住まい」について考える「バンギャル老人ホームへの道」。そして住まいだけではなく、「介護」や「老後」について体当たり取材を行った「ヘドバンしながら老後を考える」。通称“バンギャルシリーズ”は、2019年4月からウェブ連載がスタート。

この、ライターの藤谷千明さんと漫画家の蟹めんまさんが、老人ホームを訪れたり、エンディングノートを書いてみたりと、様々な角度からバンギャルとして介護や老後について学び、考えてきた本シリーズがついに書籍化。大幅に書き下ろしを加え『バンギャルちゃんの老後 オタクのための(こわくない!)老後計画を考えてみた』として、2023年3月24日にホーム社より刊行されました。今回はそれを記念して、日本最大級の老人ホーム検索サービス「LIFULL 介護」が運営するオウンドメディア「tayorini」がお二人へインタビューを行いました。

老後に関するトピックは幅が広い

ーーー書籍化決定おめでとうございます! まずは“バンギャルシリーズ“の連載が始まった経緯を教えてください。

藤谷 ライブ終わりに友達とファミレスでおしゃべりしていると、「将来はみんなでバンギャル老人ホームやりたいね」みたいな話が出ることがあるじゃないですか。それを冗談で終わらせずに、実際に調べてみたらどうか? という思いつきから始まった企画です。たまたま別現場で知り合った「tayorini」編集者の大田さんに持ち込んだら面白がってくださって、連載になりました。めんまさん(蟹めんま)が介護職員初任者研修を取得されたと聞き、記事にはイラストも必要だなと、めんまさんをお誘いしました。

ーーーめんまさんが初任者研修を取得されたきっかけはなんだったんですか?

蟹めんま 私は親族に高齢者がすごく多いので役に立つかなというのと、漫画家をやりながらアルバイトも色々しているので、介護関係の資格を持っていれば、仕事選びの幅が広がると思いました。資格取得直後に藤谷さんからこの企画のお話をいただいたのですが、介護の資格を漫画の仕事で活かせるとは思っていなかったので、これはありがたいと。当時はまだ介護や老後のことが自分自身に迫ってきていなかったので、「あぁ、いつもライブのあとに話してるアレね。面白そう」という、割と軽い気持ちでOKしました。

不安を煽らず介護と老後の話をしようー書籍『バンギャルちゃんの老後』刊行記念 藤谷千明×蟹めんまインタビュー_2
連載が始まった経緯をコミック化。本書より抜粋

ーーー振り返ると様々な角度から老後や介護について考えられていますが、スタート時からテーマがここまで広がると想像していましたか?

蟹めんま 書籍にしていただけるほど続くとは想像してなかったです。私の考えが甘かったんですけど、最初は「老後も趣味を楽しみながら元気に生きような!」ぐらいのノリの連載だと思ってたんですよ。でも実際は、趣味の話を交えつつも具体的な福祉や行政の話になっていきましたし、実際に身内の介護も経験することになったので、今となっては自分の人生に大きく関わる連載になりました。

藤谷 私もこんなに続くと思ってなかったですね。逆に言うと、介護や老後について考えたとき、こんなにも色々なテーマやトピックがあることに気づかされたました。老後に関するトピックは、年金や健康などシビアなものもありますが、その一方で、“犬と暮らす老人ホーム”や“シニア向けの美容院”など生活の楽しみを扱えることもあって、幅広いんですよね。