他方、恋愛に関してみれば、韓流ファンはかならずしも強い関心を持っているとはいえない。実際、家族以外にとくに仲のいい異性がいる場合があきらかに多く、また既婚者もKドラマファンの場合は少なくない(平均25.5%に対し、26.9%)。
にもかかわらず、恋愛に関して韓流ファンは少なくとも有意に強い関心を示しておらず、とくにK-POPファンの場合、他の趣味を持つ者と比べて恋愛に対する興味は低いほうにとどまっているのである(表3)。

ではよりひろく異性との関係に広げると、どんな傾向がみられるのだろうか。興味深いのは、韓流ドラマを好んで見る人が、「日本で女性の地位は男性に比べて低い」とは、有意に思っていないことである。さらに同じ人びとは「女性は家の外で仕事をするほうがよい」という質問に対しては、有意に肯定的に答えている(表3)。

K-POPやKドラマ好きは“自分の容姿に自信がある勝ち組”!?  新大久保の街の変化から見る“韓流ファン”の正体とは_7
表3:韓流ファンの男女観(%) **は1%以内、*は5%以内で有意 上位2つの数値

ここにあるのはジェンダーに関するある種の対等意識であり、それを支えているのは、自分に対する自信なのではないか。韓流ファンが自分の容貌をしばしば高く評価していることは先に触れたが、それに並行して自分に対する自信もかなり強く持っている。10代から30代の女性が平均して30.7%が自分に自信があると答えているのに対し、K-POPを好む層は38.0%、さらに Kドラマを好む層は47.7%と半数近くも自分に自信があると答えているのである(表2)。

そうして自分に自信があるからこそ、韓流ファンの女性たちは男性に伍して十分に働けると考えているとともに、ジェンダー的な不平等はすでに解消されているとみなしていると推測できる。
そうした女性たちからは、日本社会において女性がとくに不利な待遇にあるようには映らない。少なくとも自分は充分に成功できると信じられ、また不遇な女性がそばにいたとしても個人の努力の問題とおそらく判断されているのである。