中学生で借金100万円の誓約書
中学生時代は、朝は片道6.5kmをロードワークついでに走って登校した。
「朝から走って疲れていたので、登校するとすぐに着替えてよく保健室で休んでいました。今考えると寮から通っていたこと自体ダメなことなんですけど、勉強よりボクシング漬けの日々でした」
学校から寮に帰ってくると1階のAジムに移動し、会員さんの指導や掃除など、雑務全般を任されるようになった。夜にようやく自分の練習が始まる。その後ジム掃除をして、会長の奥さんと台所で寮生たちの夕食の支度を手伝った。
「食事後にビデオを見ながら練習の振り返りをした後、一番年齢が若い僕が寮生全員分の洗濯もすると、毎日寝るのは24時や25時を回ってました」
日曜も営業するAジムを手伝う。プライベートの時間は一切ない。寮といっても、事務所仕様の室内に絨毯と二段ベッドを並べただけの簡素な環境。壁一枚隔てた隣室は会長夫妻のいる事務所だったので、気が落ち着かない。ホームシックになったが、親とは連絡すら禁止されていた。
「そんなある日、会長が寮費や月謝、食費などで毎月6万円弱かかると伝えられました。でも中学生なので働いて稼げないじゃないですか。なのに会長は『仕事を探してこい』と言うので、新聞配達屋の扉を叩いて相談したけど、やっぱりダメで。じゃあどうするかとなって、中学生卒業までは毎月立て替えるから、約100万円の返済の誓約書を作ったのでここにサインしろと言われました」