大谷翔平が最も活きる打順は?
いくら大谷が好調でも、その前後を打つ打者が不調だと「大谷でしか点が取れない」状態に陥るのが心配だ。そうなったら、果たして相手は大谷と勝負してくれるのかどうか。
相手チームからすれば、大谷は全打席で敬遠してもいいくらい驚異的な存在だ。仮に本番でも3番・大谷、4番・村上でいくとして、現状のふたりの状態を考えたら、「大谷を歩かせて村上勝負」が常道だろう。はたして4番は村上のままでいいものか。
3月6日に行われた阪神との強化試合では、それまで6番だった山川をスタメンから外したが、村上は4番のままだった。栗山監督としては「日本を代表する選手」と村上を称え、代表選出時から4番を示唆してきた。その選手を初戦の中国戦から「降格」、すなわち4番から外すことは、指揮官としてかなり勇気がいることだ。
強化合宿前、私は、村上は4番ではなく5番がいいと考えていた。いかに史上最年少3冠王でも、国際大会での4番は重荷だと思ったからだ。昨秋のスランプも脳裏にあった。
だが、鈴木誠也が離脱した今、それでも村上の4番にこだわるなら、「3番・大谷」は最善手ではないように思える。ここは2番、いやいっそのこと1番に入れる方がいいのではないか。
大谷をチャンスメーカーにするのはもったいないが、比較的好調な牧秀悟や近藤健介、ヌートバーらのいずれかを2番に入れれば打線に切れ目がなくなる。下位に好調な選手を配置して塁を埋め、1番の大谷にまわすパターンなら、得点力も遜色ないし、チームの盛り上がりも期待できる。
その上で、4番の村上が息を吹き返すことを期待したい。そうすれば侍ジャパンの打線は、文字通り完成する。それが準々決勝、準決勝あたりでもいいではないか。普通に考えれば、1次ラウンドを勝ち抜くことに不安はないだろう。村上の完全復調はその後でもいい。
追記。
3月7日に行われたオリックスとの強化試合最終戦。村上は4番ではなく6番に入った。栗山監督の「一度、気楽に打席に入れ」という配慮だったか、それとも奮起を促す降格か。
結果、第1打席で会心のホームランをセンター左に打ち込んだ。良いホームランだった。その後、3打席連続三振こそしたものの、これで村上は吹っ切れて大会に臨めるはずだ。山川も特大の一発で鬱憤を晴らした。まだふたりとも絶好調とは言えないが、本番ではぜひとも大暴れして欲しい。
構成/木村公一