汚染が続く山菜。春の「山歩き」は消えた
東和地区周辺の米や野菜は安全性が確認された。だが、山菜やきのこ、野生生物の肉からはいまだに基準を超える高濃度のセシウムがでる。
山菜のコシアブラは1キログラムあたり1400ベクレル、熊肉では1万ベクレルを超えることもある。
菅野さんが住む布沢集落は春になるとワラビやゼンマイ、コゴミといった山菜がいっせいに芽吹く。新芽の苦味は「命をいただく」ものだった。だが今は誰も採ろうとしない。
「震災前はね、春は山歩きをして山菜を採って直売所に持っていった。それがばあちゃんの生きがいだったんだ。
このままではワラビや竹の子のあく抜きの方法も伝わらなくなってしまう。暮らしが戻っただけでは『復興』とはいえませんよ」
菅野さんは話す。