【9】マーロン・ブランドの受賞拒否
授賞式の“事件”は、遠く1970年代にも大きいのが2件も起きている。
1973年に『ゴッドファーザー』(1972)で主演男優賞に選ばれたマーロン・ブランドは、ハリウッドにおける人種差別への抗議を理由に受賞を拒否。ネイティブ・アメリカンの活動家であるサチーン・リトルフェザーがブランドの代理で登壇し、世界に向けて問題提起を表明した。
【10】全裸男がステージを駆け抜ける
1974年には、全裸の男性がピース・サインを掲げて、司会のデヴィッド・ニーヴンの後ろを駆け抜けるという大事件が。
ニーヴンはエリザベス・テイラーの紹介をしていたのだが、会場が騒然とする中、驚きつつも機転を利かせ、「人生で最大の笑いを取る唯一のチャンスに、自らの“至らない”部分をさらけ出したのは、素晴らしいことじゃないですか」と言って笑わせた。
全裸男はフォトグラファーで活動家のロバート・オペルで、記者のふりをして会場に潜入したとか。
ちなみに、2015年の授賞式で司会を務めたニール・パトリック・ハリスは白ブリーフのみの姿で登場したが、これは『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2009)にインスパイアされた“衣装”で、れっきとした演出だったそうだ。
さて、2023年の授賞式ではどんな“事件”が起きるのか。しっかりと見届けたい。
文/清水久美子