10年先のことは今悩んでもわからない

ご近所付き合いや、お子さんの進学先など、心配事については?

「ここは別荘エリアが点在していたり、大きな工場があったりして、外からやってくる人、新幹線通勤する人など、新しい住人も多い土地柄。だからか、ご近所付き合いもさばさばしていて、面倒なしがらみなども今のところ感じません。

自治体としても移住促進や子育てのサポートが充実しているので、その点もよかったです。子どもの進学先の選択肢は、東京より少ないのは事実ですが、10年先のことは今悩んでもわからない。自分もどうにかやってきたから、まあ息子も大丈夫だろう、ぐらいに思っています」

家賃15万円から4万円へ。仕事の犠牲なし、近所付き合いのしがらみなし。東京→那須塩原への「転職なき移住」は幸せの極地なのか_5
整備された大きな公園も徒歩圏内で、長男はいつものお散歩を楽しむ

生活コストの増減についても聞いてみた。
「貯金できる額が増えるはずだったんですが、こちらへ来てからドライブが楽しくなって、安い軽自動車でいいやと思っていたのが、SUVを買ってしまい、さらに出かけた先でお金を使ってしまって(笑)。そういうことをしなければ貯蓄は増やせるでしょうね。東京時代に比べて光熱費は上がりましたが、野菜などは安いですし」

今は新たな楽しみが出来たそうだ。
「今月、那須塩原駅から3km程の土地に新築した自宅が完成します。憧れだった薪ストーブを入れたので、参加している自伐型林業で薪をストックするのが最近の趣味。これから庭を手入れしたり、木を植えたりもしたいし、自宅でキャンプに近いことがやれそうで楽しみです」

家賃15万円から4万円へ。仕事の犠牲なし、近所付き合いのしがらみなし。東京→那須塩原への「転職なき移住」は幸せの極地なのか_6
新居に導入した念願の薪ストーブのため、伐採から薪作りが最近の趣味
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身近な自然や温泉などのスポットをまだ遊び尽くしておらず、実は移住してからスノーボードにはまだ一度も行けていないのだとか。

「転職なき移住」を満喫するタケシは実にいい笑顔で、そんなあれこれを気さくに話してくれたのだった。


取材・文/中島早苗